ヒクソンといえば、ブラジルの護身格闘技であるグレイシー柔術を築いた、グレイシー一家の1員。“無敗伝説”のキャッチフレーズに恥じることない実績は、国内でも有名だ。総合格闘トーナメント『バーリ・トゥード・ジャパン・オープン』の94年&95年大会で2連覇。90年代から2000年代に訪れた格闘技ブームの立役者で、選手時代の高田延彦や船木誠勝(W-1)などを相次いで撃破している。現役を退いている現在は、08年、日本で一般社団法人全日本柔術連盟を設立し、初代会長に就任するなど、日本に造詣は深い。
「セカンドドリームは、家族のバリューを息子が継いで、広めてくれること。この大会で実現させる」と言うヒクソンにとって、クロンは自慢の次男。「息子は柔術を、生活として取り組んでいる。もちろん、父の私から学んだこともあるかもしれないが、彼がプロを選択し、真摯に取り組み、意思を持って歩んでいるのは誇り」と語るその表情は、父であり、師範代でもある。
クロンは現在25歳で、10代のころには柔術の大会で数々のタイトルを獲得。黒帯に昇進してからも、ヨーロッパオープン柔術大会の中量級で優勝。昨年10月に開催された『アブダビコンバット・チャンピオンシップ』(ADCC)では、全試合1本勝ちで優勝を収めている。
総合デビューとなる今大会は、開催日時も会場も、対戦相手も未発表。だが、総合プロデューサーは、元総合格闘家で現在はタレントの須藤元気に決定しており、今後は年に2〜3回、5,000人〜1万人規模の会場で開催していく予定。日本、中国、韓国で大会を打っていくのが狙いで、使用するのは相撲の土俵をイメージした円形ケージだ。
意気込みを聞かれると、「子どものころからの夢が叶うことに感謝。ベストな状態で挑みます。まさにここは、ホームです!」と、大の親日家でもあるクロン。「私より能力が高い」と、父のヒクソンに言わしめる息子・クロンの実力は本物か? 決戦のときが待たれる。(伊藤雅奈子)