「来年のキャンプ、オープン戦を順調に送ることができれば、『開幕投手』に抜擢されるかも」(関西系のプロ野球解説者)
関係者によれば、200%の昇給率を勝ち取った要因は、2ケタ勝利だけではないという(10勝6敗/24試合)。クライマックスシリーズ・ファーストステージ初戦の大事な先発マウンドを務めたのが大きいそうだ。
「来季は能見、メッセンジャー、藤浪が先発3本柱という扱いになる」(前出・同)
見方を変えれば、藤浪の好不調が虎の命運を決めると言っても過言ではない。
今オフ、クローザー不在の穴を埋めるため、韓国・サムスンの呉昇恒(31)を獲得。外国人選手の登録枠の問題もあり、リーグ3位の防御率を残したスタンリッジを手放している。久保康友もFAで横浜DeNAに移籍し、阪神は実績のある先発投手2人を喪失してしまった。先の関係者は藤浪が秋季キャンプで取り組んでいた『インステップへの投球フォーム改造』を指して、こう指摘していた。
「藤浪は左肩が早く開く悪癖があり、それを修正するためのフォーム改造でした。投球フォームの改造に関しては賛否両論だが、対戦チームも対策を高じており、悪癖を持ったまま来季に臨めば、釣瓶打ちにされます。気になるのは、藤浪が新フォームを完全に修得しないまま、秋季キャンプが終わってしまったことです」
2年連続で活躍できるかどうか、それは、オフの過ごし方次第となるだろう。
「年俸が4500万円まで上がったということは、来年の契約更改で『1億円』の大台に到達する可能性も出てきたわけです」(前出・プロ野球解説者)
どの球団もそうだが、阪神もチーム総年俸を抑えようとしている。
「阪神は久保の補填として、横浜DeNAに『人的補償』を求める予定。先発タイプの投手か、右打者を選ぶはず。先発投手の頭数がいない状況ですから、年俸の高い選手でも、使えると思った選手がいれば獲る方向です」(同)
カネに糸目はつけないというわけか…。
藤浪の昇給にケチをつける関係者はいない。しかし、阪神は来年20歳になる若者に1億円を払えば、その後の昇給幅がどれだけ大きくなるのか、分かっているのだろうか。FA補強に失敗しても、カネの掛かるチーム構成からは抜けられないようだ。