前半はお互いに譲らずスコアレスで終えるが、迎えた後半57分、コロンビアDFサンチェスがペナルティエリア内で、今大会5得点のFWケインを倒してしまい、今大会2度目となるPKを献上。これをケイン自らがきっちり沈め、イングランドが待望の先制点を挙げた。
その後はお互いにファールが多くなるなど、荒れ模様の様相を呈するが、試合はイングランドのリードのまま進んでいく。万事休すと思われたコロンビアだが、後半アディショナルタイム3分にCKからDFミナが値千金の同点ゴールを決め、土壇場でコロンビアが試合を振り出しに。試合は延長でも決着がつかず、勝負の行方はPK戦に託されることとなった。
PK戦でまず優位に立ったのはコロンビア。イングランド3人目のMFヘンダーソンのシュートを、GKオスピナが左手一本で弾き出した。しかし、その直後にコロンビア4人目MFウリベがポストに当て、みすみすリードを手放すと、5人目のFWバッカもPKを失敗。逆にリードを奪ったイングランドが5人目のMFダイアーの成功により、ベスト8へ駒を進めることとなった。
PK戦を迎えた時点では、コロンビア有利と予想した人も多かったかもしれない。なぜなら、イングランドはW杯で3度(1990年、1998年、2006年)、欧州選手権(EURO)でも3度(1996年、2004年、2012年)PK戦で敗北を喫している“PK弱者”だからだ。
ちなみに、現在チームを率いるサウスゲート監督も、1996年のEUROでPKを失敗した経験を持っている。今回チームがPK戦で勝利を収めたのは、何度も同じ轍を踏んできた経験に加え、指揮官自身の苦い記憶が生かされた故の結果であるのかもしれない。
なにはともあれ、2006年ドイツ大会以来の8強入りとなったイングランド。7日の準々決勝では1990年イタリア大会以来のベスト4をかけ、スウェーデンと対戦する予定となっている。
文 / 柴田雅人