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プロ野球各チームがドラフトの星に「投げないでくれ!」の悲鳴…

 横浜ベイスターズも、ドラフト1位は153キロ左腕・藤岡貴裕投手(東洋大)に決めたようである。9月26日、球団事務所でスカウト会議が開かれ、「即戦力左腕の補強は不可欠」ということで意見がまとまった。某在阪球団スカウトの言葉を借りれば、「他選手の1位入札を表明した巨人、広島、慶応大・伊藤クンを本命視している阪神以外の全球団が藤岡クンに行くかもしれない(入札参加)」とのこと。最大9球団? あくまでも、1位指名を表明していない球団の入札が集中した場合にすぎないが、そんな“9球団の恋人”がオーバーワーク気味のピンチに追い込まれていた。
 「正直、(27日は)投げてほしくなかった。本調子でないのにここまで投げられるんだから、それはそれでやっぱり凄い」(セ・リーグ球団職員の1人)

 27日、藤岡が“強行先発”し、完投勝利を収めた(自責点1)。この日の神宮球場のスタンドには、相当数のプロ野球スカウトが陣取っていた。スカウトだけではなく、編成、スコアラーなどの球団職員もいたように見受けられた。正確な球団数、視察者も確認できないほど大挙していたが、前出のセ球団職員同様、「これ以上投げないでくれ」との思いは全員が抱いていたのではないだろうか。
 藤岡が22日の中央大学戦(3回戦)で右足首に打球が直撃し、「全治2週間の打撲」と診断されたのは既報通り。東洋大は春秋連覇を目指しているが、2カードを終えた時点で2勝3敗と黒星が先行している。藤岡は居ても立ってもいられなくなったのだろう。前日26日にはブルペン入りし、この27日の日大戦先発を買って出たのだ。
 「26日のブルペンでの様子? 右足を庇う素振りは見られませんでした。本当にダメなら、監督さんが投げさせませんよ」(関係者)

 一部メディアは「驚異的な回復力」とも称賛していたが…。今季、藤岡は春のリーグ戦、大学野球選手権、日米大学選手権、夏の強化練習と続き、“お疲れモード”に入っている。秋のリーグ戦中の今は連覇という目標があり、また緊張しているから自覚していないかもしれないが、過労は肩やヒジの故障原因にもなりかねない。前出のセ球団職員がこう続ける。
 「昨秋の早大3投手を思い出してくださいよ。秋季リーグ戦で慶応大学と再試合を演じ、その後、日本選手権を戦いました。斎藤佑樹、大石達也、福井優也は12月、1月で疲れが取れず、そのままキャンプインし、プロ1年目は精彩に欠きました」
 今後、各カードの初戦は藤岡が先発すると思われるが、仮に第2戦を別投手で落とした場合、第3戦に再び藤岡が登板する可能性もある。東洋大・高橋昭雄監督は無理強いをさせる指導者ではないが…。とはいえ、「投げないでくれ」と言うのは、プロ野球サイドのエゴだ。
 横浜ベイスターズも、かなりの人数で藤岡を視察していた。9月27日時点で、横浜の左投手が先発しておさめた勝ち星は、「4」。お目当ての1位候補にも不安要素がちらつくとは、運のなさを感じずにはいられない。尾花監督の胸中は−−。(一部敬称略)

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