「キューバ・ルートは、将来への投資と思った方がいい」(球界関係者)
セペダは契約金5000万円、年俸1億5000万円で、契約期間が1年。年俸の30%をキューバ政府に納めるという。一部では50%とも言われていた“政府納税”だが、亡命を経ない正規ルートでの来日であり、巨人とDeNAは“受け入れの実績”を作ることで「本当に欲しい選手を自由交渉できるようにする」と目論んでいるのだろう。
「池田純・DeNA球団社長が『キューバ政府と接触できたのは13年12月』と話していました。当然、チーム補強と編成は終わっていました」(スポーツ紙記者)
巨人も限られた条件のなかでセペダ獲得を決めたようだ。13年夏、キューバ政府の要人が来日し、巨人は移籍解禁の旨を内々に伝えられたという。その際には移籍容認の選手リストなるものもできていた。巨人、DeNAの戦況を考えれば、両球団が補強すべきは投手。だが、キューバ選手獲得には制限もあり、米メジャーリーガーのように自由交渉はできないのだ。
「正規ルートではありませんが、日本ハム、ソフトバンク、オリックスにもキューバ出身選手がいます。今後、キューバ政府との正式な交渉も念頭にあるようです」(前出・関係者)
また、キューバといえば、02年に社会人シダックスに国際試合の経験を持つオレステス・キンデラン、アントニオ・パチェコが来日した。キンデランは帰国後に指導者となり、『ラン・エンド・ヒット』などの進塁打重視の日本スタイルを導入している。だから、「セペダにNPBを経験させ、WBCなどに対応させるのではないか?」との見方もある。しかし、こんな指摘も聞かれた。
「中日も02年にオマール・リナレスを獲得しましたが、戦力にはなりませんでした。目下、中日は森繁和ヘッドコーチがドミニカ共和国との強力なパイプを持っており、今回のキューバ選手の来日には全く関心がありません」(前出・スポーツ紙記者)
ドミニカに野球学校を持つ広島カープも、興味を示していない。メジャーのビッグネーム獲得に成功している楽天も同様で、無名でも日本球界向きの外国人選手を連れてくる西武、ヤクルトもキューバとの接触を考えていないそうだ。キューバ選手獲得に対し、NPBは二極化しそうだが、儲かるのは“キューバ政府だけ”である。