派遣社員が平均一月しか持たない、その勤務内容とは果たしてどんな内容なのだろうか。
その工場では社員と派遣社員が、二つに分かれて作業をしている。社員は主にマシンオペレータをしており、機械操作のみである。他の作業は全て派遣社員の仕事になっていると言う。
最初に派遣社員は一つの空パレットを用意する。次に空のプラ製のケースを積み上げて、その中には緩衝材を入れておく。そのケースの中に完成品を納めるのである。
まずは素材を機械に入れる作業がある。パレットに素材が山と積まれている中から、1個の直径約15センチ、重さ1キロの素材を最初の機械の入口に積み上げる。機械はほぼ自動化されており、自動的に素材は中に入ると言う。最初の機械からギアが出てくるのを暗室でヒビがないかを確認し、更にもう一つの機械に入れる作業がある。これは一つ一つ、入口に並べて入れる必要があると言う。
更に機械から出てきた完成品のギアをケースに入れる作業を、一人でほぼ同時に行わなくてはならない。4つの工程を一人で管理しなければならないのだ。ちなみに1日の生産数は1000個だと言う。
これだけの重労働な仕事を、たった一人の派遣社員にさせているのだと言う。その理由は単純に経費削減のためである。おまけに派遣社員がしくじったり、失敗したりすると、容赦ない罵声が社員から浴びせられるのである。
この工場で派遣社員は、まさに地獄の作業を延々とさせられるのである。おまけに昼勤と夜勤を、一週間ごとに交互に行わせるから、派遣社員の多くはそのリズムに身体を合わせることが出来なくなって、更に過労で身体を壊すのである。
知人の話では、その工場では社員がその余りに過酷な労働が原因で発狂した者も存在したと言う。また社内で使い物にならない他の部署の駄目社員を中に入れて、敢えてリストラしていたそうである。
今週も新聞の求人折込チラシに、この企業が求人を載せているが、果たして何人が地獄を体験するのだろうか。
(藤原真)