ほかのオーディション企画と一線を画しているのは、おぞましすぎる強権発動だ。アイドル候補生たちを、自分の彼女予備軍とばかりに審査。沖縄合宿では一緒にジャグジー風呂に入るなどして、富裕層の豪遊そのものだ。大ブレイク中のアイドルグループ・BiSHを擁する芸能事務所・WACKの全面協力で、デビュー曲はBiSHのアイナ・ジ・エンドがダンスサポート。クロちゃんの振る舞いは非人間的だが、布陣は強力だ。
現在、テレビ朝日が『ラストアイドル』、テレビ東京が『青春高校 3年C組』で素人を発掘して、オーディションからデビュー、イベントを追い続けて、アイドルグループを育てている。そんな中、クロちゃんのように、ダウンタウンという大物芸人の冠番組のワンコーナーを利用しているのはレアケース。プロデューサーが私利私欲を丸出しにして、悪徳ぶりを表出させているのも、きわめてまれだ。
芸人の中には、クロちゃんに反して、地道に着実に真面目に女性アイドルグループをプロデュースしている者もいる。はなわだ。
「およそ2年前、奥さんの亡くなったお父さんへの思いをつづった『お義父さん』が大ヒットしたはなわさんですが、06年からアイドルを育てています。インターネットテレビのShowTimeとGyaO!で配信されていた冠バラエティ『はなわレコード“中野腐女子シスターズ”』から生まれた、オタクをセールスポイントにしたアイドルユニット“中野風女シスターズ”がそれです。現在は“風男塾”という男装アイドルグループに変貌しています。コアなファンをつかんでいて、初期メンバーにはスザンヌさんもいました。“青明寺浦正”を名乗った男装だったのは、浦えりかさん。今年、夫のSEKAI NO OWARI・DJ LOVEとの間に第一子をもうけました」(週刊誌の芸能記者)
加入、脱退、引退などの紆余曲折を繰り返し、現在は6人のメンバー。ライブ、ミュージカルといったステージ経験が豊富で、大手芸能プロダクション・ケイダッシュが手がけるプロジェクトだ。所属芸人のはなわが楽曲を担当・プロデュースするのは必然で、11月6日にリリースされた通算23枚目のシングル『sunny』も作詞している。
はなわは、本気で楽曲制作に取り組み、13年間もコツコツと活動している。対してクロちゃんは、突飛なキャラを生かして地上波を利用。この差。皮肉なものだ。
(伊藤由華)