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山口敏太郎の直言(7)B級グルメ、妖怪・伝説、地方経済は町おこしをなりふり構わずなんでもやれ!

 B級グルメ、妖怪・伝説、地方経済は町おこしをなりふり構わずなんでもやれ!

 3・11に日本を襲った東日本大震災は、大きな爪痕を残したが、我々日本人にとって大きな歴史的転換点になったのではないかとも言われている。

 従来の原子力発電を中心に据えたエネルギー政策から、太陽光発電や天然ガスを使ったリスク分散型の発電方法へ転換に視点が移っているし、一人一人の人生をそれぞれが楽しむシングルライフ志向から、地震や津波への潜在的な恐怖のためだろうか、配偶者や家族を持つファミリー志向にライフスタイルのチェンジをする人も増えてきている。

 中でも注目すべき点は、中央集権の色彩が強かった経済構造の緩やかな変化である。経済面では中央政府に隷属してきた地方自治体が独自の経済圏の構築に向かいつつある事である。

 確かに、我が国の歴史を振り返ってみると、地方が力を持ち中央と対峙したり、中央に介入したりする地方の時代と、政治と経済の権限が中央に集中する中央集権時代が交互に到来している。

 源平合戦という地方勢力を巻き込んだ動乱の勃発(地方自治)、鎌倉幕府の統治(中央政権)、地方の武士を巻き込んだ応仁の乱(地方自治)、室町幕府の統治(中央集権)、地方に群雄が割拠した戦国時代(地方自治)、江戸幕府の統治(中央集権)、薩長土肥が力をつけて戊辰戦争まで突っ走った幕末(地方自治)、明治維新から現在まで続く近代社会(中央集権)。

 このような流れを見ると、次に来るのは地方が力をつけ、独自の経済や政治を廻す(地方自治)の時代が到来するのは間違いないように思える。数年前から本格的に議論されるようになった道州制も、中央集権から地方への権力分散という流れの延長線上にあると思える。

 世界的に不況が蔓延し、中央政府の力が弱まる中で、各国で地方の反乱が続いている。ドルの価値が暴落し、国家破綻が見えているアメリカでは、ユタ州、アイダホ州、ミネソタ州、ジョージア州が、米国連邦政府発行の金貨・銀貨を法定通貨と見なす法案を通しており、特にユタ州は州独自の通過を鋳造する検討段階に入っているというのだ。

 また、国家破綻寸前のイタリアでは、ローマの東70キロに位置するフィレティーノという人口550人の町が独立を宣言し、町長の顔が刷られた独自の紙幣「フィオリト」を発行、昔追放になった貴族を招き入れフィレティーノ公国(Principality of Filettino)と名乗り始めている。これなどは、観光客目当てのパフォーマンスであると思えるが、この強かさは学ぶべきである。

 今まで、どうしても日本経済は東京を中心に廻ってきた。だが、『もはや東京や政府・官庁に頼ってばかりでは、何もかもが駄目になってしまう!』と気がついた地方自治体が自分たちの町にある店や特産品・B級グルメで、郷土の歴史で、地元の寺社仏閣を使う自立した経済圏を構築すべく動き出したのだ。

 先日も徳島県で開催された『徳島バーガーグランプリ』の審査員を務めてきたが、思いのほか好評で多くの来客で会場が溢れていた。これは昨年鳥取で開催された『全国ご当地バーガーNo.1 決定戦!』の予選でもあったわけだが、徳島ラーメンという経済効果のあるご当地メニューに続く、新規メニューの開発に積極的に取り組んでいることがよくわかった。どの都市に行っても同じ外食チェーンが並んでいたバブル期とは違って、その土地ならではのご当地メニューやB級グルメの開発は、今後の地方経済活性化の有効な手段であろう。

 さらに横浜で開催された横浜市公認イベント『恋する横浜de愛ツアー第6弾 シングル男女限定 de愛ツアー』にもパワースポットの解説・企画として参加したのだが恋人たちを集める観光戦略も各自治体にも必要なことであろう。

 また関東某県や岐阜県、東京都青梅市で筆者が依頼を受け企画し、実行しているのが『クリプトツーリズム』である。これは現地に伝わる妖怪伝説や不思議な伝説を使った町おこしであり、青梅市では『雪女の碑』『雪女の部屋(昭和レトロ商品博物館2F)』を創り、岐阜市では今年から『口裂け女祭り』を開催した。現在、筆者は他にも数箇所でプロデュース中だが、この流れも”地元にあるが活用されていない観光資源の掘り起こし”という概念から見ると正しい方向性である。

 もはや、東京の真似をし、東京のやり方に従う時代は終わった。それぞれの県や市が独自に観光や産業をプロデュースし、その土地ならではの価値観を創造すべき時代が到来しつつある。自分の地元にプライドを持ち、ネットユーザーや観光客を抱きこみながら、地元の中で密で活発化な市場を作り出すこそが、地方自治体の正しい経済戦略といえるのだ。これからは、間違いなく地方の時代であり、地方にこそビジネスチャンスは埋まっている。(山口敏太郎)

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