東電では原発停止による電力需要の落ち込みを、火力発電の増加でカバーしており、天然ガス(LNG)の調達拡大で燃料費がアップしており、それを補うためというのが値上げの言い訳。
新たな電気料金の単価は、特別高圧の事業者で1キロワットあたり2円58銭、高圧の事業者で1キロワットあたり2円61銭を、現行の電気料金単価に一律に上乗せしたものとなる。上乗せする単価は、現行料金の前提に対する燃料費等の負担増分のうち、東電の徹底した合理化を織り込んだ上で賄いきれない部分に相当するという。
対象となるのは、契約電力50キロワット以上の大口の事業者約24万社。この部分の値上げには政府の認可が不要で、上げ幅は個別交渉となり、事業者によって異なる。モデルケースでは百貨店やオフィスビルなどの大規模事業者向け(特別高圧)が18.1%アップ、スーパーなどの中小規模事業者向け(高圧)が13.4%アップとなる。
ここで気になるのは、我々の国民生活に直結するスーパーなどの中小事業者の電気料金値上げだ。スーパーではこれまでより、コスト増となり、当然経営に響いてくる。モノを作る側の大手メーカーが、価格に転嫁してくるケースも出てくるだろう。そうなれば、国民の負担増となる。
また、スーパー側がコスト増の自己負担を避けるため、弱い立場の卸業者に負担を強いるケースも出てくるだろう。卸業者がさらに立場の弱い中小零細のメーカーに負担を強いるケースもあるだろう。そうなると、零細のメーカーや卸業者が立ち行かなくなる懸念もある。最悪、電気料金の値上げで、これらが連鎖倒産していく危惧もはらんでいるといえよう。
(蔵元英二)