波田陽区といえば2004年、ギター片手に芸能人を斬っていく『ギター侍』でブレイクすると、年末には決めフレーズ「残念」が流行語大賞トップ10入り。さらに最高月収は2800万円だったことも公表しており、まさに幸せの絶頂を味わった芸人である。しかしその後、仕事は激減し、2016年4月には、妻子と共に東京から福岡へと移住。新たな仕事を求めての転居だったが、思うように仕事は増えておらず、「給料が安い時は子供の幼稚園や小学校に通わせるのにマズイじゃないですか。何回か(引退は)よぎりましたけど、やっぱりこの仕事しかないかなと思っちゃうんですよね。お笑い芸人しかできないんですよ。元々好きで入った世界ですし、お笑いが好きなんですよね」と、何度か芸人を辞めようと苦しんだこともあったと告白。だが波田は今回、なんとかしてトライアウトでチャンスを掴み、お笑いの世界で家族を養いたいと話した。
波田は近年、金色の衣装に身を包みながら、いたる所で「フェニックス!」と叫ぶ『こんなところにフェニックス』というネタを、自身のYouTubeチャンネルにて何十本も公開している。その一部の動画は10万再生を超えるなど、一定の視聴者数を誇っているものの、9割がマイナス評価で、批判的なコメントも多く飛び交っていた。そして今回の『お笑いトライアウト』でも、彼はこの渾身のギャグである「フェニックス」を見せたのだが、ウケはイマイチで、ネタを見た『よゐこ』濱口優からも「YouTubeでも見たことあるけどクソほどおもんなかった」と厳しいコメントが炸裂した。
すると波田は金色の衣装を脱ぎ捨て「新しい魔球もありますので」と、さらなるネタを投入。そして彼は「オペラ侍」という、実在のオペラ歌手を斬るというネタを披露したのだが、ネタの構成が天津木村のエロ詩吟と酷似していると指摘されたことで、2度目のネタの途中で吹き出してしまうという痛恨のミスを露呈。その結果、業界関係者100名によって採点されたネタ速度は、10キロという全参加者の中で最低点を記録した。その後も、番組が密着するも、波田に新たな仕事依頼の連絡はなく、再起を賭けた挑戦は厳しい結末となった。
そんな波田といえば、過去にもネタで現場を凍りつかせたことがある。2005年に放送されたバラエティ番組『たけしの誰でもピカソ』(テレビ東京系)にて、ギター侍のネタを披露した時のこと。彼はその際、MCである北野武に向かって「俺はビート、ビート、たけしだよ。映画の監督やってるよ。『HANA-BI』や『Brother』『座頭市』、これからもいいもん作ってくっていうじゃなぁ〜い。でも、あんたの娘は子供作っちゃいましたから〜! 残念!」と、当時、できちゃった結婚で女児を出産した武の娘をイジッたのである。すると武はスタジオにあった椅子を掴み、激怒しているかのような表情を見せた。その直後、共演者である今田耕司が体を張って武を止め、椅子が波田に飛んでくることはなかったものの、番組を見ていた視聴者には大きなインパクトを残した。なおこの模様はカットされずに放送されたことで、演出という声もあるが、武のその時の形相が演技に見えなかったため、一部の視聴者には「マジギレしていた」という印象を与えたようだ。
普段、様々なブラックネタを許容するイメージのある武だが、この時ばかりは若手の波田に家族をネタにされたことで、怒りに火がついてしまったのかもしれない。
【参考】
・めちゃ×2イケてるッ!(2017年2月4日)
・たけしの誰でもピカソ「お笑い居酒屋 90分スペシャル」(2005年1月)