なかでも、血管の老化は深刻な症状をもたらすことが多いです。体中に張り巡らされているだけに、各所への影響も大きくなります。
今回は医師の小田切ヨシカズ先生に、血管を強く丈夫にする方法をお聞きしました。
■血管が衰えることの危険性
「老化によって血管が衰えてくると、詰まったり破れたりといった症状が起きますが、これにより脳であれば脳出血や脳梗塞、心臓であれば心筋梗塞などの危険な状態に陥ります。血管の強さに大きく関わるのが、血管内皮細胞です。血管のもっとも内側を覆う層に存在する細胞で、直接血液と接する組織です。血管の収縮や拡張を促し、保護する役割を担っています」
■血管内皮細胞の役割とは
「血管内皮細胞の重要な役割は、バリア機能です。血液中に含まれている成分が、血管壁内へと侵入するのを防ぐ働きをしています。また一酸化窒素の排出を促し、血管を拡張して血流を促進し、動脈硬化を抑制するなどの効果もあります。内皮細胞の健康を保つことが血管の強さにも繋がります」
■重要なのはしなやかさ
「内皮細胞を健康な状態に保つのには、抗酸化作用の高い食べものの摂取が有効です。緑黄色野菜に含まれるルテイン、トマトのリコピンといったポリフェノールは、非常に抗酸化作用が高いことで知られています。ショウガに含まれるジンゲロールやショウガオールなども同様の効果が見込めます。逆に、内皮細胞にダメージを与えるのは塩分の摂り過ぎ。それにともなう高血圧なども、内皮細胞に負担をかける要因となります。また、血管だけでなく、血液自体もサラサラな状態にしておくことも大事です。血管の強さというのは、硬さではなく、しなやかさだとも言えます」
血管の衰えはなかなか気付きにくく、気付いた時には重症化しているケースが多いことから、サイレントキラーとも言われます。いつの間にか忍び寄り、命を奪う危険性も高い。ストレスなども血管に負担をかける要因となるので、食事を含めた普段の生活から見直しましょう。
【取材協力】小田切ヨシカズ
湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。