高城の復帰はベイスターズにとって、大きなメリットが考えられる。
入団会見で三原一晃球団代表が「26歳と若い。編成上の構成で最適」と獲得の経緯を明かしている通り、主戦キャッチャーの伊藤光が30歳、一軍での実績がある戸柱恭孝29歳、嶺井博希28歳で、期待の若手山本祐大は21歳という陣容、26歳の高城は年齢的にその中間層に当てはまる。順調に行くと3~4年後には戸柱、嶺井共にFA権を取得するだけに、万が一に備える意味でも高城の存在は大きいと見る。
また、高城は「専属捕手」としての役割を担える。2014年には井納翔一とコンビを組むと、2016年には現ジャイアンツの山口俊、2017年には濱口遥大を、リードでも精神面でも引っ張った。三原代表も「安心して任せられるピッチャーがラミレス監督の中でもあった」と明かしているようで、来季も濱口とコンビを組むことが予想される。本人も「コミュニケーション」がキャッチャーとして大切と感じていると語っており、荒れ球が持ち味のピッチャー相手にケアできる存在は、チームにとって重要だろう。
そして、高城の人柄も魅力。三原代表も「彼の人柄がチームに与える影響を良く知っている」と、性格の面も高く評価。トレードの際に横浜スタジアムから荷物を運び出す際には、チームメイトはもちろん球場の受付までもが涙したエピソードを持つ“愛されキャラ”は、持って産まれた貴重な個性。チームを引っ張り続けたキャプテン・筒香嘉智がメジャー挑戦でチームを離れる公算のため、ムードメーカーとしての高城の存在はベンチにとっても貴重になるはずだ。
元々高卒ドラフト2位で入団し、名球会入りも果たしたベイスターズOB・谷繁元信氏級の期待を集めていた高城俊人。応援歌のフレーズ「強肩強打のスゴいヤツ」も谷繁氏から受け継いだもの。会見で「正捕手を狙う」と宣言した“ジョー”は、パ・リーグでの経験を武器にして、ベイスターズに勝利を呼び込むためにサインを出し続ける。
取材・文・写真 / 萩原孝弘