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コンピューターゲームの20世紀 第32回…『幻獣旅団』

<時代の波に飲まれた悲運の名作>

 世の中には発売時期を逸してしまったために、正統な評価を下されることなく埋もれてしまった名作が数多く存在する。この『幻獣旅団』もそういった名作の1つなのだが、特に発売時期と方法がかなり最悪な部類に入る。本作が発売されたのは1998年の6月、ハードはスーパーファミコンからである。当時は既にプレイステーションやセガサターンが発売されてから3年半もの時間が経っており、世の中の注目は完全に次世代機に移行していた。ちなみに同年の前半に発売されたゲームには『バイオハザード2』や『鉄拳3』などがあり、いかに本作が時期はずれであったかが分かっていただけると思う。

 また、発売方法がこれまた最悪のニンテンドウパワー書き換え専用。ニンテンドウパワーとは1997年9月から始まったサービスで、専用カセットを購入すればローソンのロッピーで安価にゲームを書き換えが出来るもの。正直なところ利用者は極一部に限られ、盛大に失敗したサービス(名作も数多く存在し、サービスの質自体は高かった)である。ただでさえ市場の小さなSLGにこれだけの悪条件が揃っていれば、本作の存在自体が幻になるのは当時から明らかだったはずである。しかしながら本作は当時プレイした数少ない層から絶大な支持を得て、現在まで名作として語り継がれているのだ。

 『幻獣旅団』はいわゆる戦略SLGに属し、ユニットが戦車や戦闘機の代わりに聖騎士やユニコーンなどといったファンタジー系になっているのが最大の特徴である。ゲーム性を分かりやすく説明するならば、ファンタジー系ユニットの『ファミコンウォーズ』といったところであろう。何かと嫌われることが多いHEXマップではなく、コンパクトなスクエアマップ上に都市の代わりとしてモノリスが点在。この、モノリスを占領することによって毎ターンごとにマナが手に入る。このマナを消費することで様々なユニットを召喚することが出来るのだ。そして、そのユニットの種類はプレイヤーが召喚出来るものだけで52種類存在。最初はわずか3種類のユニットしか召喚出来ないが、マップをクリアするごとに種類が増えていく。ただし、上限は20種類のため、中盤以降新たなユニットを加入させるには既存のユニットを外さなければならない。このユニットの選択が本作の面白さでもあり、選択の結果いかんでは難易度も大幅に変わってしまう。特に聖騎士やペガサスといった超優良ユニットを手放すと、かなりのマゾプレイを強いられることになるのだ。

 このように本作はプレイヤーの選択次第で難易度を変えられる柔軟さを持ちながら、ゲームクリア後には敵味方の召喚可能ユニットが大幅に異なる外伝モードもプレイ可能。さらに裏技によってスタート時から敵陣営のユニットが召喚出来るようになるなど、異なった環境でのプレイが可能になる。すべてのモードを遊びつくし、縛りプレイまで始めるとなれば、まさしく一生遊べるSLGなのである。(須藤浩章)

DATA
発売日…1998年
メーカー…アクセラ
ハード…スーパーファミコン
(C)1998 AXELA

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