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コンピューターゲームの20世紀 第29回…『点と線で描かれた宇宙戦争』

 日本ではあまり普及しなかったが、アメリカでは一世を風靡した描画の方式が存在する。このベクタスキャンと呼ばれる描画方式は点と線のみで図形を表すもので、面が存在しないため見た目は非常にシンプル。当時、日本で主流であったドット絵と比較すると地味ではあったが、大きなキャラを滑らかに動かすことが可能であり、緻密さよりも迫力を優先するゲームに向いていた。そして、70年代後半から80年代前半に最盛期を迎え『アステロイド』や『テンペスト』といったヒット作を生み出している。

 しかし、昔に比べCPUの性能が上がりメモリの容量にも余裕が出てくると、ベクタスキャン方式はその意義を失いつつあった。今回紹介する『STAR WARS』はそのような状況下である1983年に発売された作品である。

 世界的な大ヒット映画である「スターウォーズ」とのタイアップである本作は、大型筐体に操縦桿という仕様で当時のゲームセンターの中でも一際目立つ存在であった。コクピットを模した筐体(アップライト型筐体も存在)に乗り込めば、その眼前に広がる光景に吸い込まれそうになる。まさに「スターウォーズ」の世界がそこには広がっていたのだ。画面の大部分が黒というベクタスキャンの短所は逆に漆黒の宇宙をイメージさせ、線で描かれたタイファイターやデススターの美しさを際だたせていた。

 プレイヤーは主人公ルーク・スカイウォーカーとなり、Xウィングに乗り込んでデススターを破壊することが目的。ステージ1ではR2D2による自動操縦のもとで、敵タイファイターとのドッグファイト。続くステージ2(1周目はステージ2がない)ではデススター表面にとりつき、砲台を破壊しながら進んでいく。そして最終のステージ3ではデススターの側溝を進み、排気口にプロトン魚雷を投下すれば1周クリアとなる。

 最近のゲームと比べると非常にシンプルな内容で、1周クリアまでの時間もかなり短い。また、本作以降も「スターウォーズ」を題材にしたゲームは様々なハードから発売されている。しかし、個人的には本作こそが数多いスターウォーズゲームの中で最高峰であり、これを越える作品に出会ったことはない。筆者にはテレビで「スターウォーズ エピソード4」を見るたびに、本作のことが思い出されるのである。May The Force Be With You!!(須藤浩章)

DATA

発売日…1983年

メーカー…アタリ

ハード…アーケード

(C)LUCASFILM LTD. AND ATARI,INC. ALL RIGHTS RESERVED. LUCASFILM TRADEMARKS USED UNDER LICENSE.

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