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コンピューターゲームの20世紀 第30回…『サーカディア』

<敵と味方は表裏一体>

 今回お届けするこの『サーカディア』は1999年1月にSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)から発売されたゲームである。メーカー公式のジャンルはアドベンチャープラスというもので、ADVにSLGの要素が加わっているというもの。しかし、戦闘シーンはコマンド選択式のRPG風であり、ハッキリとしたジャンル分けが難しいゲームでもある。

 主人公は海底都市に転校してきた高校生。幼い頃に親を亡くし、独身である叔父に育てられてきた。そんなある日、主人公の前にウサギの様な生き物が現れる。自らを「ナビ」と呼び高次元意識体であるというこの生き物は、主人公と共生を初めると共に世界を滅亡から救う役割を主人公に課すのである。この典型的な巻き込まれ型ストーリーにおいて重要な役割を果たすのが「超能力」。主人公は超能力に目覚めており、同じ力を持つ仲間を集めなければいけないことになる。この仲間集めが本作の最大のキーポイントなのだ。「ナビ」のナビに従って力の持ち主に接触し、好感度を上げていけば超能力の存在を告白し無事仲間入りなのだが…。

 仲間となるキャラは男7人、女7人の計14人。それぞれ能力が異なり強いキャラもいれば弱いキャラもいる。外見的にもヤサ男風から年上の兄貴、ニヒルな上級生、担任の美人教師、世間知らずのお嬢様、同じマンションに住む同級生など様々。この全員が仲間になれば何の問題もないのだが、最終的な仲間に出来るのは最高で7人までと決まっている。また、最終決戦に挑むことが出来る真の仲間になるには「イデアイベント」をクリアしなくてはならない。そして、このイベントをクリアすると、恐ろしいことに好感度が最も低い仲間が敵の手に堕ちてしまうのだ。

 先ほどまで共に戦うことを誓っていた仲間がいきなり敵に回る。これはかなり衝撃的で、初回プレイ時には大いに驚いたことが記憶に残っている。また、イデアイベントに失敗した場合、その仲間も問答無用で敵になってしまう。そして、味方を増やす=敵を作るというこのゲーム性が数多くの人を虜にしている要因でもあるのだ。ゲームクリアを優先するだけならば強いキャラを優先して集めればいいのだが、どうしても容姿が好みのキャラや心情的に離れがたいキャラを手放すのは心苦しい。この葛藤がたまらない部分でもあるのだ。特に、間違ってお気に入りキャラが敵に回ろうものなら、リセット必至である。

 真の仲間が確定すると後はラストまで一直線である。主人公の両親に関する謎などが一気に氷解していく。そして、敵にも仲間にもならなかったキャラは2度と姿を現すことがない。せめてこの辺はどうにか出来なかったのだろうかと思ってしまう。また、一直線のシナリオにも少々問題があり、2周目以降仲間のキャラを変えて再プレイをする際に、終盤の展開が常に一緒なのである。ということは、本来のヤマ場が完全にエンディングを見るための作業になってしまう。ここも非常にもったいなく感じるポイントだ。

 とは言え、現在はゲームアーカイブスの配信を利用すれば600円で購入が可能である。フルプライスでの購入であれば目に付く欠点も、昼飯代程度で購入すれば許せる範囲である。未プレイの方は1度試してみるのもいいのではないだろうか。(須藤浩章)

DATA
発売日…1999年
メーカー…ソニー・コンピュータエンタテインメント
ハード…プレイステーション
(C)1999 SonyComputerEntertainment Inc.

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