「あんな使われ方ではプライドが許すはずがない。巨人というブランドを考慮しても、間違いなくFA権を行使するでしょう」
球界OBがそう言うのは、巨人の谷佳知外野手=顔写真。06年のシーズン終了後、交換トレードで巨人入り。去年はチームトップの3割1分8厘と活躍、5年ぶりのリーグ優勝に貢献した。ところが今シーズンは、半ばから不本意な代打や守備要員で使われるシーンが目立つようになった。
「原監督は口では、『谷のしぶといバッティングに助けられている』とか言っていますが、腹の中は違う。谷の定位置のセンターには高橋由がいるし、鈴木尚も育ってきた。肩が強いわけではなく守備範囲も広いとは言えない谷は、もういてもいなくてもいい。来季の構想には入っていない可能性まであります」(前出・球界OB)
谷は2005年に取得しているFA権を行使せずに巨人に移籍している。さらには昨年、巨人から出された2年契約を固辞。あくまで単年契約したのは、今シーズンの使われ方を読んでいたからなのか。スポーツ紙デスクが話す。
「巨人は(球界の)ブランドとして人気があるだけ。移籍組が働けなくなれば冷たいのは伝統と言ってよく、谷も1年在籍して分かったのではないか。年も年(35歳)ですが、しぶとくいやらしいバッティングには定評がある。FA権を行使すれば手を挙げる球団は2、3にとどまらないでしょう」
北京五輪で3連覇を逃した亮子夫人も、まだ現役を続行するらしい。その夫が飼い殺し状態に満足しているはずがない。
球団を去る者がいてもいなくても、補強に目の色を変えるのが巨人。今季のシーズンオフも格好のターゲットがある。大量5選手がFA権を取得する中日のレギュラーだから、願ってもない。
「投手陣では川上、岩瀬。野手では荒木、井端、森野の3選手がFA権を取る。どの選手も(FA)宣言すればセ・パ会わせて、少なくとも5・6球団は獲得に名乗りを上げる。川上はメジャーに行くでしょうが、岩瀬と井端は落合監督との関係がよく残留する可能性が高い。目玉になるのは、荒木と森野のふたりです」(前出・デスク)
二塁手の荒木は、シーズン初めの4月にFA権を取得。先日、FA権を行使しないと言っているが…。米メジャーを取材するフリージャーナリストがこう言う。
「北京五輪でメジャーのスカウト連中が、その守備を『グレート』を言ったほど絶賛しました。打撃もシュアですからメジャーが目をつけているのは間違いなく、荒木株は急上昇している。本人はこのまま中日でプレーしたいようですが、条件次第で気持ちがグラついてもおかしくない」
メジャーが獲得に名乗りを上げるとなれば、巨人は有力選手流出阻止の大義名分ができる。
「巨人はメジャーと争うほうが都合がいい。金の条件も、荒木の言い分を飲む覚悟はできているはず。何せ、ネックになっているのが二塁手。その上、ライバル中日の戦力をそぐことになり、一石二鳥でもあるからだ」(前出・球界OB)
もうひとりの候補、森野は外野はもちろん三塁も守れるユーティリティープレーヤー。
「FAで取れる選手はふたりまでですが、巨人のウイークポイントを補えるのが魅力。谷が出て行っても、おつりがくる。なりふり構わず手を挙げるのは間違いないでしょう」(前出・同)
昨年は、ヤクルトから強奪したラミレスとグライシンガーが大車輪の活躍をみせた。原監督の来季はまだ保証されてはいないが、今年は中日の荒木と森野の獲得に乗り出すことだけは確実と見ていい。