賛否両論あった摂津正の先発転向にしても、合格点を付けられるのではないだろうか。5月8日の対日本ハム戦では7回2失点と好投。3勝目こそ逃したが、124球を放り、チームの勝利にも貢献している。
12日の対オリックス戦では、首位打者・内川がスタメンから外れた。投打ともに12球団トップとも称される選手層の暑さだろう。しかし、秋山幸二監督はペナントレース中盤以降の戦いに一抹の不安を抱えているのではないだろうか。まだ本領を発揮していない選手もいるが、現時点で、チーム力は“ほぼピーク”にあると言っていい。
これから先は「選手の調子が落ちていく」可能性の方が高いからだ。こんな情報も交錯している。
「セ・リーグ各球団は羨望の眼差しで見ています。今年は変則日程なので、交流戦が終わるのが少し早くなります。つまり、シーズン中のトレードを仕掛けるタイミングが例年よりも早くなります。選手層の厚いホークスに『商談』が殺到するでしょうね」(在京球団職員)
当然、応じられないトレードもあるだろう。
また、こんな傾向も見られる。ソフトバンクはパ・リーグの対戦5球団に対し、負け越しているチームは1つもない。しかし、ホームゲーム10勝4敗に対し、ロード5勝5敗1分け。「内弁慶」の様相が出ている。また、まだ25試合を消化したばかりだが、15勝9敗1分けの内訳を見てみると、大きく勝ち越しているのは楽天に対してだけで、2位・日本ハム、3位・千葉ロッテ、5位・埼玉西武、6位・オリックスとは「わずか1勝」を勝ち越しただけだ。エース級をぶつけられると、ソフトバンクの強力打線をもってしても、なかなか点が取れないのだろう。
ベテランも多いチームなので連戦が続けば、体力的に苦しい。GW明けの連日の雨により、すでに13連戦の可能性が出てきたチームも出てきた。ソフトバンクはまだその恐れはないが、交流戦の相手となるセ・リーグチームは巨人、中日だけ。雨天による連戦が組み込まれれば、ベテラン勢の体調管理はますます難しくなってくる。
「パ5球団は内川の研究・対策に本腰を入れていますよ。好打者なのは分かっていましたが、彼(の安打)を止めれば、ソフトバンクを独走させないで済む。交流戦を見て、セ・リーグの内川対策を参考にしたい」(ライバル球団スコアラー)
交流戦をどう乗り切るか…。ペナントレース後半を有利に進めるには、投打ともにピークにある好調さを持続させなければならない。(スポーツライター・飯山満)