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重賞今昔物語 1999年マーメイドS 的場均との名コンビでターフをわかせたエリモエクセル

 古馬牝馬のGI路線が整備され、2006年、春の最大目標にヴィクトリアマイルが新設されて以降、同じ牝馬限定重賞であるマーメイドSは、徐々にメンバーのレベルが下がってきた感がある。しかし、まだそんな状況になかったころは、結構な名牝が勝ち馬に名を連ねている。
 1997年はエアグルーヴ、00年はフサイチエアデール、04年アドマイヤグルーヴ、05年ダイワエルシエーロといった具合だ。そして、今回取り上げる99年も、クラシックホースがしっかりとその実力を発揮して1番人気に応えてみせた。
 98年のオークス馬エリモエクセル。梅雨時に設定されているため、道悪になることが多いレースだが、その年もどんよりした曇り空の下、重馬場で行われた。
 道中は6番手あたりをじっくり追走。2番人気に支持された武豊のキクノスカーレット、4番人気の河内ランフォザドリームの仕掛けを待ちながら進んだ。直線は粘り込みを図るキクノスカーレットを、計ったように2分の1馬身差してゴールを迎えた。

 鞍上は的場均。馬と人、両方の相手関係をしっかり見極めて、ゴール前でライバルをきっちり捕らえる。ライスシャワーでミホノブルボンを、グラスワンダーでスペシャルウィークを撃破するなど、ジョッキー仲間から「マーク屋」として恐れられた男の真骨頂がここでも発揮された。
 的場とのコンビが結成されたのは98年のオークスから。当時、7番人気の伏兵でしかなかった馬が一気に頂点に上り詰められたのも、この男との出合いがあったからだろう。その伏線は前年のエリザベス女王杯で張られていた。エクセルと同じ馬主のエリモシックを勝たせた。このときも圧倒的人気だったダンスパートナーを“ベタマーク”。ゴール前でクビ差差し切っていた。
 ぴったりマッチした馬の個性と人の個性が縁で結ばれ、結果を生んだ。99年はマーメイドS以外にも中京記念、府中牝馬Sと重賞3勝。立派な成績を残して、エクセルは繁殖入りした。
 これまでは期待ほどの産駒を送り出せていないが、2歳にはダンスインザダークの牝馬、1歳はディープインパクトの牝馬と楽しみな血統馬がそろっている。今後の活躍に期待しよう。

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