今場所、10勝を挙げれば、大関に復帰できたが、13日目(24日)、平幕・遠藤(追手風)に敗れ、6敗目を喫し、復帰の夢はかなわなかった。琴欧洲は「まだ2日あります」と話すのが、精いっぱい。
今後、琴欧洲はどうするのか? 北の湖理事長(元横綱)は「今後も長く取るのなら『横綱、大関に向かっていく』というように、気持ちを切り替えろ」とゲキを飛ばした。
確かに、琴欧洲はまだ30歳で、気持ちの切り替えさえできれば、現役を続行することも選択肢のひとつだろう。ただ、ここ3年で6度も途中休場するなど故障が多く、体は満身創い。11年夏場所(5月=両国)以降、大関でありながら、2ケタ勝ったのは、わずか2場所しかなく、すでにピークは過ぎている。現役を続ければ、醜態をさらすことも考えられる。
そんな折り、琴欧洲には場所前に、朗報も届いた。念願の日本国籍を取得したのだ。琴欧洲は将来、親方として協会に残るべく、1年以上前から、帰化申請の準備をしていた。だが、母国・ブルガリア政府から、国籍離脱の証明書がなかなか届かず、帰化問題は長期化していた。
しかし、親方になるための資格である日本国籍を有したことで、無理をして相撲を取り続ける理由がなくなった。
08年夏場所には幕内優勝も果たし、史上4位の大関在位47場所の記録もつくった琴欧洲。大関に復帰できなかったことで、早期引退に拍車を掛けそうな気配だ。
(落合一郎)