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競艇界にも“チェンジ”の風吹かす 日本モーターボート競走会皆川浩二会長インタビュー

 「何でもやる!!」−。政治の世界でも変革が進む昨今、競艇界にも“チェンジ”の風が吹き始めている。各都府県競走会と連合会の一元化を成し遂げた前会長(蔭山幸夫氏)の後を受けて半年、業界のさらなる活性化に尽力しているのが、日本モーターボート競走会の皆川浩二会長だ。競艇界の門を叩いて36年。その中で培った経験を基に、現在・過去・未来を熱く語ってもらった。

 −−皆川会長が就任されて、半年が過ぎようとしています。今年は政治の世界も大きく変わりました。そんな変革のときに長い間、競艇の実務に携わっていた方が会長に就任。何か時代の要請としか思えてなりません。
 皆川会長「いわれてみればそうですが、若返りが目立つ政財界の世代交代と私とでは年代が違う。とにかく前向きに考えていきたいですね」

 −−だからこそ長年、競艇の現場にいて、競艇の仕事の表も裏も知っておられる会長の存在が、我々としては頼もしく感じられます。そもそも会長の経歴を拝見すると、競艇場のある愛知県常滑市の出身とありますが?
 皆川会長「私の父親が常滑市役所に勤務していた関係で、競艇は学生時代から身近なものでした」

 −−業界に入られたキッカケも、その辺にあるのでしょうか?
 皆川会長「ええ。一番最初は選手にならないかと誘われたんですよ。高校生のときは、私もやせていましたからね(笑)。結局、選手にはならなかったわけですが、大学を出るときに競艇をサポートする仕事をしたいと思った次第です」

 −−そして、会長就任に合わせるように、常滑をホームプールにする池田浩二選手が、SG競走を2つも取りました。
 皆川会長「彼の義父はもう亡くなりましたが、高校の同級生だったんですよ。名前も私と同じ『浩二』ですし、つながりがありますね。彼は、これからますます気持ちに余裕を持って、大きなレースに臨めるんじゃないでしょうか。(ビッグタイトルを)もう1つ取るかもしれませんね」

 −−それにしても、奇遇ですね。そこから愛知県競走会における人生を歩まれたとは…。具体的にはどこに属されていたのでしょうか?
 皆川会長「蒲郡で7年、常滑で3年、審判をやりました。副審判長を最後に、管理部門の方に移りました」

 −−そうして愛知県モーターボート競走会の中枢を担われ、いま、日本モーターボート競走会のトップに立たれました。携わってこられた業務をすべて書き出すと紙面が足りません。恐縮ですが、会長がされた仕事で、これはと思うものを挙げてもらえれば幸いです。
 皆川会長「テレボートの立ち上げと『ボートピア名古屋』の開設ですね。ボートピア名古屋は、それまでの施行者主体ではなく、競走会主体による初めての施設です。私が率先して交渉し、設置確認を取り付けました。『官』ではなく『民』が運営しています。ですから、ここでは365日、休みなく毎日どこかの舟券を売っていますよ」

 −−そういう経験があって現在があるのですね。
 皆川会長「就任してから、まだ24競艇場の半分ぐらいですが、トップの方と話をさせていただきました。そこでは『すべて競走会にお任せください』と言っているんですよ。競技の運営だけでなく経営面でもね。場外発売場の設置にしても、競走会ができる限りお助けしたいと考えています」

 −−周辺の環境を整えるということですね。ではレースの方の改革はいかがですか。
 皆川会長「魅力のある選手を、もっともっと生み出し、育てることは私の責務です。訓練を充実させ、メンタル面や人格形成の教育まで行うシステム作りに取り組んでいます。また地区のスター候補生を育成するために、地元のあっ旋に充てることも重要です。あと半年で『特別選抜枠』で入った訓練生がデビューしますが、彼らの活躍も楽しみです。これからは、いろいろなところにアプローチをかけ、いい素材を競艇界に呼び込まなくてはなりません。地域と連携して、若い人に訴えかけなくては…」

 −−自ら先頭に立ってスカウト活動ですか?
 皆川会長「この時代、どうせ苦しい状況なら『何でもやってやろう』です。実際、私は(スカウトに)高校や短大にも行きました。また、5月に改正された待機行動ルールもおおむね好評で、レースも活性化したと思っています。とにかく競艇はもっと分かりやすくできるはずです。判定基準についても、まず関東、東海と地区のすり合わせからです。そうすれば全国的に統一されるでしょう」

 −−本当に難しい時期に舵取りを任された会長ですが、売上低迷の打開策はどうでしょうか?
 皆川会長「まず考えているのは、SG日程等の見直しですね。以前はSGの売上に競艇の売上全体が引っ張られていたのですが、最近はSGが売れません。原因をきちっと分析した上で対策を講じる必要があると思います。十分に議論を尽くしたいですね」

 −−我々もいい方向への変化を求めてやみません。一方で、変わるべきものがあれば、守っていかなくてはならないものもあることと思われますが?
 皆川会長「何といっても『公正なレースの提供』です。ファンに安心して競艇を楽しんでもらえるための基本、これを前提に『面白い競艇』を築き上げていかなくてはなりません。より一層、視界を広くして、ファンの要望をくみ取っていきたい。競艇場はギャンブルの場ですが、同時に地域の雇用を生み出す場であり、コミュニティーの場でもあるはずです。そのためには本場を盛り上げなくては…。とにかく『何でもやってやろう』です」

 −−会長のお話をうかがうと、我々も気が引き締まります。本日はご多忙な中、ありがとうございました。

<プロフィール>
 皆川浩二(みながわ・こうじ) 昭和21年10月25日生まれ、愛知県常滑市出身・現住所。名古屋学院大学卒業。座右の銘「実践躬行」(じっせんきゅうこう=口ではなく身をもって実際に行うこと)。
 【職歴】
 昭和48年3月…(社)愛知県モーターボート競走会入会
 平成14年5月…同会会長に就任
 平成19年11月…(財)日本モーターボート競走会理事に就任
 平成20年4月…(財)日本モーターボート競走会・東海地区担当常務理事に就任
 平成21年4月…(財)日本モーターボート競走会会長に就任

◎取材後記
 取材の最後に、皆川会長にご無理をいって、笹川記念会館1階に展示してあるボートに乗っての撮影をお願いした。最初は照れくさげ。しかし、最後は満面に笑みで、両手でガッツポーズを決めてもらえた。
 「何でもやる!!」。インタビューの中でも力強く発言されていた言葉が早くも具現化された格好だった。併せて、その職歴から実務者の視線に立って改革できる人、ファンの求めるものをくみ取ってくれる人…競艇に注ぐ熱いハートを感じさせる方だった。今の競艇界は内側も外側も難題は山積している。そういう時だからこそ“行動派”のニューリーダー・皆川会長にかかる期待は大きい。

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