金曜日の初戦を“絶対エース”今永昇太で落とし、交流戦3連敗としてしまうと、ファンの間では「今年もダメか…」とのムードが漂っていた。
しかし、土曜日に約1か月振りに戦列に復帰してきたベテラン右腕、井納翔一が潮目を変えた。初回に2点を奪われたものの、2回には自らのタイムリーで勢いに乗ると、6回を2失点のクオリティースタートを達成。オリックス戦から元気の無かった打線も、14安打7得点と奮起。結果7-3と快勝した。
日曜日は上茶谷大河が先発。直近の2戦とも好投を見せ、6月1日にはプロ初完投初完封をマークしているドラ1ルーキー。この日はフォアボールが多く、やや安定感に欠けていたが、5回を2失点でまとめて見せた。打線は初回に宮崎敏郎のタイムリーで先制したが、その後チャンスは作るものの、あと一本が出ずイニングは進んで行く展開。2点ビハインドの8回、2アウト満塁の場面で代打楠本泰史がプロ初ホームランとなる、起死回生のグランドスラムが飛び出し6-4で勝利を飾った。
勝利した2試合とも、チームの脇を固めるプレーヤーの活躍が光った。土曜日は久々のスタメンの桑原将志が3打数2安打2打点、セカンドに入った中井大介も4打数3安打の猛打賞を記録するなどとチームに貢献。日曜日もヒーロー楠本はもちろん、途中出場の乙坂智が3打数3安打、セカンドのスタメン出場の石川雄洋も、送りバントに2死四球1安打と活躍し、勝利に献上した。
連勝した試合は6月に入って、打率.074、2安打、1打点と不振を極めるネフタリ・ソトがスタメンから外れた。昨年のホームラン王の不調は誤算だが、その穴を埋める活躍を、リザーバー達が見せてくれた。昨年の交流戦はレギュラーの怪我を埋められず厳しい戦いを強いられたが、今年は戦力の底上げが感じられる。これからの戦いが、俄然楽しみになるような連勝だった。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘