まず、1977年の放送事故はTBSの人気ドラマ『赤い激流』の放送中に発生。当時の新聞記事によるとドラマの冒頭、いきなり放送キー局であるTBSで放送が中断する事故が発生。フジテレビで放送されていた外国映画『ロザリー 残酷な美少女』の映像が薄く流れるという珍しい放送事故になった。
また、1982年1月25日の混線事故は同じくTBSとNHKで発生。この日の昼11時49分頃、TBSは自局のニュース番組『JNNニュース』を放送していたのだが、突然裏番組であるNHKの音楽番組『名曲アルバム』が10秒間ではあるが映り込むという事件が発生したのだ。
幸いにも、放送事故が発生した時間帯は、お昼前の十数秒とのことで、目撃した視聴者はあまり多くなかったが、ゆったり落ち着いてテレビを見ていた主婦層が多くおり、「どうなってるんだ」「別の放送局の映像が流れたのではないか」と問い合わせが殺到。この日の新聞の夕刊に「TBSのニュースにNHKの音楽番組」という見出しで新聞に掲載された。
なお、放送事故が発生した原因は「現在調査中」としながらも、中継を行っていた電電公社(現NTTグループ)のマイクロ回線の接続ミスではないかとされている。現在、東京都内のテレビ局ではマイクロ回線は光ケーブル化されており、コンピュータによりミスのないよう徹底的な管理が行われている。
現在では珍しい「混線」という放送事故。テレビの放送技術がまだ発達段階だったからこそ発生した人的ミスといえよう。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)