ブランコは8日のDeNA戦で死球を受けて左手甲を骨折、全治6〜8週間の見込みで、9日に出場選手登録を抹消された。スレッジは左ヒザ痛のため、6月16日に出場選手登録を抹消され帰国。米国で精密検査を受けた結果、重度の軟骨損傷と遊離軟骨があると診断され、復帰のメドが立たない状態。この2人は長期戦線離脱が濃厚で、出場辞退は致し方ない。
そこで、セ・リーグの指揮を執る中日・高木守道監督(70)の頭を悩ませているのが、荒木雅博内野手(34=中日)の出場問題だ。荒木は10日の阪神戦で左太もも裏を肉離れ、11日に全治2〜3週間と診断されて、12日に出場選手登録を抹消された。
荒木はさほど重症ではないことから、後半戦が始まる25日からの復帰を目指しているが、問題となっているのが球宴出場。荒木自身は「オールスターには出たい」と語っているが、チームとしては辞退して後半戦に備えてほしいのがホンネ。
ところが、野球協約がそれを許してくれないのだ。球宴を辞退すると、球宴後の10試合に出場できないとのルールがある。もし、荒木が大事を取って辞退した場合、最短で復帰できるのは8月5日になってしまう。これは、荒木にとっても、中日にとっても大きな痛手。
そうなると、荒木は球宴に強行出場するしかない。ただ、そこで故障を悪化させても困るわけだ。回復状況次第だが、足に故障を抱えている以上、守備に就くのも、代走も厳しいところ。そうなると、荒木の出番はせいぜい代打程度になるだろう。セ・リーグ的にはほとんど戦力としては期待できず、本来なら元気な選手に代替出場してもらった方がいい。それでも、協約上、荒木は無理を承知で球宴に出るしかない。
そもそも、この協約は球宴に選ばれながら、大した故障でもないのに、後半戦に備えるために辞退することを防ぐために設けられたもの。ところが、逆に球宴後10試合の出場停止を避けるために、故障を抱えながらも辞退をせず、代走代打程度の出場でお茶を濁す選手が多いのも事実。過去には1試合も出場しなかった選手もいる。根本的な問題は、この協約そのものにあり、改善策を検討する必要もあるのではなかろうか。
(落合一郎)