「今の斎藤では、田中(将大=22)との直接対決は厳しすぎます。甲子園では雌雄を決したライバルでも、プロでは『4年の経験値』により、大きく引き離されたと言わざるを得ません。斎藤の後半戦以降の巻き返しに期待したいですね」(プロ野球解説者)
斎藤は6月29日の復帰登板後、一軍と二軍を行ったり来たりしている。一軍登録されたら、即先発。翌日には登録を抹消され、別投手が昇格して投げる…。ダルビッシュ、ケッペル、武田勝、ウルフの先発4人が好調なので、「5番手以降は各投手の様子を見ながら」という作戦だ。厳しい言い方になるが、斎藤は『先発投手としての信頼』をまだ勝ち取っていないのである。そんな“成長過程の段階”であるにも関わらず、オールスター戦に選ばれたことについては斎藤本人も気にしていたが(特別出場枠)、23歳の斎藤たちは「複雑な世代」でもあるようだ。
「新人や若手にとって、球宴は他球団の先輩選手から話を聞く絶好の機会でもあります。同時に同年代との親睦を深めたり」(前出・同)
何故、複雑かと言うと、この世代にはまとめ役がまだ決まっていない。仲が悪いわけではないが、松坂世代のような連帯感がないのである。
「強いて言えば、坂本(勇人=巨人)とマエケン(前田健太=広島)がまとめ役かな。一歩下がって、マー君(田中将大)。坂本とマー君が中学時代のチームメイトだった話は有名ですが、ライバル関係には発展しませんでした。坂本は同年代のなかでもっとも意識している投手はマエケンで、マエケンも坂本をライバル視しているところが見受けられます」(在京球団職員の1人)
ファンの立場からすれば、第3戦のパ・リーグ先発が予定されている田中から斎藤への継投リレーは興味深い(20日時点)。
しかし、斎藤の球宴出場が決定した7月13日、田中は各メディアにコメントを求められたが、「何で選ばれたんですか?」と、特別枠について“逆取材”していた。ひと通りの説明を聞いた後、「おめでとうございます」と、眉1つ動かさずに答えていた。
「メディアからすれば、斎藤の球宴出場は有り難い限りでしょう。一時はテレビ中継すら決まりませんでした。斎藤の出場の可能性が報じられ、球宴3試合全ての放送が決定したようなものです」(前出・関係者)
斎藤も前半戦の不甲斐ない成績に引け目を感じていたからだろう。前半戦最後の登板となる17日、「絶対に勝ちたい」と何度も口にしていた。球宴が先輩選手の話を聞く機会だとすれば、今年は何を学んで来るかが斎藤のテーマになる。チームメイトのダルビッシュは常に他球団の投手に囲まれているので、終始面倒は見てもらえない。武田勝、武田久、増井、糸井、稲葉、中田などほかにも日本ハム勢はいるが、斎藤に付きっ切りというわけにはいかない。やはり、今年の球宴ベンチはちょっと居心地が悪そうである。