ア・リーグのレンジャーズに所属し、日本人で唯一の出場となったダルビッシュ有投手(25)の登板機会はなかった。
試合は先行のナ・リーグが初回に5点、4回表に3点を取り、ワンサイドゲームとなって、そのまま8-0で終了。ダルビッシュはブルペン待機したものの、マウンドには上がらなかった。
ア・リーグの指揮を執ったレンジャーズのロン・ワシントン監督は戦前、ダルビッシュの起用法に関して、「試合がどう動くか見ていく必要がある」と明言しなかった。ア・リーグのベンチ入り投手は13人で、どうしても余剰人員が出る。ワシントン監督は「(使わなかったのは)彼がフレッシュな選手だから。もし何かの理由で延長になっても、彼は1試合分まるまる投げられる」と語り、ダルビッシュを延長戦に突入した場合の予備要員として、計画していたようだ。
日本では当初、NHKがBS1での生中継を予定していたが、ダルビッシュの出場で、地上波の総合テレビでの放送に昇格、主、副チャンネルでリレー中継された。しかし、“主役”の出番は訪れず、登場を待っていたファンにとっては、まさにドッチラケの結果になった。
国内のオールスター戦は2戦制(11、12年は3戦制)であるため、故障でも起こさない限りは、選ばれた選手が出場しないケースはまずない。従って、日本のファンにとっては、球宴に選ばれて出場しないという事態になじみがない。
だが、米球宴は1戦制で、延長戦など不測の事態に備えて、選手を残しておく必要性もあり、新人のダルビッシュは予備要員に回された格好。
ダルビッシュが選ばれたのは、監督推薦や選手間投票ではなく、最後の1人を決めるインターネットでのファン投票。日本からもかなりの票が入ったことは明白で、テレビの放映権料など、米球宴にはジャパンマネーも流れている。「せめて、打者1人だけでも投げさせてくれたら良かったのに…」というのが、日本のファンのホンネだ。
ダルビッシュは「ボクにとって初めてのオールスターで、何人かの選手といろいろな話ができて楽しかった」とコメントしたが、ファンにとっては残念至極。この日ばかりは、起用しなかったワシントン監督が“悪者”扱いをされそうだ。
(落合一郎)