6月には『RIZIN.16』兵庫・神戸ワールド記念ホール大会を開いていた。名古屋はRIZINの前身・PRIDEが生まれた街でもある。RIZINの名古屋開催は昨年から2年連続だ。
昨年はメインイベントに谷地祐介、セミファイナルに元谷友貴がそれぞれ登場。その他、KINGレイナ、村田夏南子、シュートボクシングから内藤大樹と海人、そして地元枠として朝倉未来が参戦している。
今回はRIZIN&ベラトールの日米MMA団体バンタム級王者・堀口恭司が、朝倉兄弟の弟、朝倉海(かい)を相手に凱旋マッチを行う他、RIZIN女子スーパーアトム級王者の浜崎朱加や、再起を狙う浅倉カンナ、マネル・ケイブが登場する。
地元枠からはKNOCK OUTなどで活躍しているフライ級のキックボクサー大崎一貴らが初参戦する。RIZINの榊原信行CEOは「さいたま(7.28)より名古屋の方が知名度の高い選手が出場する」と語った。“神童”那須川天心が締めた神戸大会に続いて、名古屋大会も今年の目標である「地方でもRIZINを感じる選手、カードを持っていく」ことを実践する構えだ。
メインイベントに出場する堀口は、7.28さいたま大会のリングで「皆さんの応援のおかげでベルトを持って帰ることができました。8月18日に愛知県体育館で試合が決まっているので、しっかりKOか一本で倒したいと思っている」と名古屋大会の意気込みを口に。堀口の首を狙う“四天王”の闘いをリングサイドで見守った。
四天王とは、元谷友貴、扇久保博正、石渡伸太郎、佐々木憂流迦の4選手。7.28さいたま大会では、扇久保が元谷に、石渡が佐々木にそれぞれ勝利を収め、次は勝者同士が対戦する見込み。その勝者と堀口がタイトル戦を行うことも考えられる。
堀口と対戦する朝倉海は、7.28さいたま大会で矢地を相手に完勝した兄、朝倉未来の勢いをそのまま継ぎたいところ。榊原CEOも「堀口が磐石に勝てる相手でではない」と番狂わせの可能性があると示唆していた。朝倉兄弟を2大会連続でメインイベントに起用したRIZINの彼らに対する期待は相当高いと言ってもいいだろう。
マッチメイカーのチャーリー氏は堀口と海について「実績で見ると、とんでもないミスマッチだ。ただ朝倉海には『もしかしたら』という期待感を抱かざるを得ない」と強調する。
チャーリー氏は続けて「MMA(総合格闘技)ではパンチャーズチャンスという言葉がよく使われるが、まさにそれだ。アグレッシブで当て勘が良く、パンチのパワーもあるパンチャーは一発で試合の流れを変える事ができるということが最大の魅力であり、見所になるだろう」と海に期待した。
さらに「2人の勝負は間違いなく打撃での試合になり、相性はバッチリ。洗練された相手に対して粗削りで予想だにしない動きをする若い選手がアップセットを起こす場合もある。海の失うものがないという腹のくくりと心構えが最大の武器になり得るかもしれない。逆にデメリットしかない堀口には、少なからず今までとは全く違うプレッシャーがかかるかもしれない。試合内容はもちろん、両選手の心理的状況も考慮しながら観るとより楽しめるマッチメイクだ」と解説している。
チャーリー氏も海の可能性について口にしている。今大会の見どころは間違いなく、海が堀口を相手にどこまで戦えるかだ。無限の可能性を披露してもらいたい。
取材・文 / どら増田
写真 / 山内猛