『RIZIN.17』
▽28日 埼玉・さいたまスーパーアリーナ 観衆 16,930人(満員)
朝倉兄弟の兄、朝倉未来(みくる)がRIZIN初のメインイベントに登場。RIZINの重鎮、矢地祐介を相手に判定に持ち込まれたものの、無傷で3-0の判定勝ちを収めた。
「今回ふたりともリスクを背負ったんで、お互い本気で殴り合ってるときに楽しくなっちゃって」
未来は、試合中に笑みを見せたことについて聞かれ、このようにサラリと言ってのけた。試合では、未来が放った左のローキックが矢地の動きを止めた。未来は「予想通りの闘い。前に出した足が内側を向くクセがあるからカーフキックが弱点だと思った。分析通りの動きで全部通じた。相手も力強かったけど俺も強いんで、なかなか倒せないと思う」と続けた。対戦相手の矢地も「悔しい。とっても悔しい」と嘆きながら「強かった。作り方が上手かった。ヒザ下も終盤ききましたし、相手の方が一枚上手でした」と完敗を認めている。
今回の一戦、未来は本来のフェザー級(66kg)からライト級(70kg)に階級を上げて臨んだ。ライト級百戦錬磨の矢地に完勝したことで『RIZIN.19』(10.12エディオンアリーナ大阪)で開幕するライト級GPへの出場へ期待が高まる。しかし本人は「それはファイトマネー次第(笑)。ぶっちゃけそこまで興味はないですね。俺の基準としてフェザー級ならUFCでも通用すると思っているけど、ライト級でやったらUFCのトップに勝てる気がしない。その気持ちを持ってトーナメントに出るのは良くないと思うので」と消極的な姿勢を示した。
しかし、令和の格闘界を背負うニュースターの誕生に、RIZINの榊原信行CEOは黙っていなかった。「ライト級GPには出てもらおうと思っています。矢地との試合を見ても十分やれる。あの矢地に何もさせなかったわけですから。本人はフェザー級でやりたいと思いますけど、ウチは今年フェザー級のトーナメントをする予定はない」ときっぱり。
「ライト級の日本代表として出てきてほしい。体格の問題もありますが、まだ2カ月半あるので、きょう見た感じではほぼ無傷なので全然できる。毎晩行って口説きます(笑)。未来としては冒険ですが、想いも背負って、(チャンネル登録者数15万人の)YouTubeを見ているファンも背中を押してくれるはずなので、チャレンジしてもらいたい」と語り、全力で説得する考えを明らかにした。
『RIZIN.18』(8.18愛知県体育館)では、弟の朝倉海(かい)が、日米バンタム級王者、堀口恭司と対戦する。榊原CEOは「『朝倉兄弟、恐るべし』堀口が磐石に勝てる相手ではない」と海の活躍にも期待を寄せた。今回は地上波の生中継がなかったが、こういう大会で出てきたスターが、大晦日の大きな柱として成長していくのだろう。
取材・文 / どら増田
写真 / ©︎RIZIN FF