「私は大学を卒業した後、就職もせずブラブラしていた時に、求人広告を見てキャバクラ嬢になりました。最初は生活費が稼げればいいという考えだったんですが、次第にこの世界に入ったからには、ナンバー1を獲りたいという気持ちが強くなっていきました」
そんな咲子は指名や売り上げを伸ばすため、経済的に余裕のある太客を掴むことに必死だったという。
「私は指名を取るためならアフターで、客と一晩を過ごす事も厭わなかった。でもお金のない客とはそこまでしたくなかったんです」
そのため、咲子はいつしか客が金持ちかどうか見抜く術を身に付けていったという。
「簡単に客がお金持ちかどうかを見分ける方法があるんです。それはタバコを買ってもらうこと。予め席に着くときに2、3本しか入ってない状態のタバコを持っていくんです。すると相手が“買ってあげる”という流れになるじゃないですか。その時がチャンスなんです」
咲子によると、タバコはカードでは購入することができず、現金で支払わなければならない。そのため客がタバコを買う際に、財布の中身を確認し、相手の経済力を計るのだという。そういった細かい洞察の甲斐もあり、彼女はやがてナンバー1となった。
「20代半ばを過ぎましたし、そろそろ落ち着いた生活をしようかなと。今はお店で知り合ってお付き合いしてる男性がいるので、将来のことも真剣に考えています」
咲子は夜の世界を棄て、キャバクラで知り合った会社役員の客と、近々婚約する予定だという。
(文・佐々木栄蔵)