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コンピューターゲームの20世紀 第33回『スーパーリアル麻雀P2』

 『スーパーリアル麻雀P2』は1987年3月に稼働を開始した『スーパーリアル麻雀P1』から、わずか半年後にデビューを遂げている。これは『P1』の販売状況が芳しくなかったためであり、普通の2人打ち麻雀であった『P1』に脱衣という付加価値をつけることで、販売促進効果をもたせようとしたのである。普通はこの様な試みは失敗することがほとんどであり、当時としてもあまり珍しくはなかった脱衣麻雀が大成功を遂げるとは制作者でも想像出来なかったに違いない。

 こういったあまり歓迎されざる経緯から発売された本作だが、結果的にはそれまでの脱衣麻雀を圧倒的に凌駕する大ヒットを遂げた。そのヒットの理由とは脱衣シーンのアニメーションが非常に滑らかであり、女の子が可愛かったという点にある。麻雀自体は当時としてもかなりチープであったが、脱衣アニメーションのみは当時最高峰の出来映えであり、このシーンを見るためだけになけなしの小遣いを本作に注ぎ込む若人が全国各地で大量発生した。

 しかし、本作の難易度は鬼畜レベルであり、服を2枚脱がせるのが限界という有様だった。それもそのはず、一応は麻雀ゲームという形態をとってはいるものの、実際にはCPUはイカサマが常套手段だったからである。2人打ち麻雀というイカサマに適したゲーム性も手伝い、CPUはプレイヤーのツモから自分の配牌まで自由自在に操ることが出来たのだ。しかも、「ショウ子」(脱衣する女の子の名前)を脱がすには連勝を続ける必要があり、相手が上がるたびに彼女は服を1枚着てしまう。このように「ショウ子」の全てを見ることは到底不可能なレベルであることは当時でもよく知られていた。しかし、男の性欲とは恐ろしいもので、それを理解しながらこの遂行不可能なミッションの前に多数の青少年が撃沈していったのである。また、これは後日判明したことだが、本作にはタイマーが搭載されており、稼働時間によって難易度が上がっていくシステムになっており、プレイヤーがショウ子に思いをよせるほどに難易度が上がっていくという仕掛けであった。

 そんな全国の青少年の声に応え、カラーページでショウ子の画像を掲載した新声社のアーケードゲーム専門誌「ゲーメスト」は大反響を呼び、後にヌードのセル原画を載せた号は売り上げが大幅アップするという効果を生んだ。わずか見開き2ページの画像が雑誌の売り上げすら左右したのであるから、当時のプレイヤーが本作にかけた情熱は相当のものだったのである。

 こうして本作は設置されたゲームセンターに多大な収益をもたらし、人気シリーズとして脱衣麻雀の重鎮になっていく。しかし、本作のヒット以降、脱衣麻雀は2人打ちのイカサマありがスタンダードとなってしまい、ゲーム性を無視した駄作が氾濫してしまうことになる。また、難易度が高いほどゲームセンターの収益が上がるという考え方から、無茶な難易度がまかり通ることになってしまった。

 現在は通信対戦可能な麻雀ゲームがゲームセンターの中心を占めており、脱衣麻雀は店舗の隅に数台設置されているのみである。しかし、ほんの一瞬ではあるが、脱衣麻雀がアーケードゲームの話題の中心であったことを忘れないでほしい。(須藤浩章)

DATA
発売日…1987年
メーカー…セタ
ハード…アーケード
(C)SETA co.,ltd. 1987

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