このアニメは他のTVアニメと違い、明確なストーリーというものが存在しない。妖精の森に住む3匹の妖精、ピクピク、シルシル、コロコロがシュールなトークやお題に沿ったゲームの展開や、異世界の一場面を見ながら適当にセリフを当てるなど、ラジオやバラエティー番組の構成に近い内容になっている。特に適当にセリフを当てるアフレ湖”コーナーはほぼアドリブとのことで、各キャラの声を当てている三森すずこ、水原薫、明坂聡美が即興で声当てをしている。スベったり、笑いの神が降りたりと完全に芸人番組のノリだ。番組最後の人気アニメの予告をパロディー化した嘘予告も、色々なところから怒られそうで、制作陣のアクの強さが感じられる。
放送開始時はアニメオタクの間でも全くのノーマークといっていいアニメだったが、公式配信をしている動画サイト、ニコニコ動画などを中心に面白いと話題になり、放送局の少なさに反し、着実に知名度を上げている。ギャグネタとCGアニメの相性は良いようで、過去にも『ザ・ワールド・オブ・ゴールデン・エッグス』、『ザ・フロッグマン・ショー』、『やわらか戦車』などが少ない人員、低予算アニメなのに関わらず映画化、グッス化などをされるまで人気を得た実績がある。『gdgd妖精s』も似たような状況で制作されたアニメであり、どこまでこの勢いを維持することが出来るか期待したい。
深夜アニメ市場は年々大型化し、放送局、出版社、製作会社の広告面での大規模なメディア展開が当たり前になっており、実験的な試みよりは堅実さが重視される傾向にある。このアニメはその流れとは完全に別モノのアニメであり、今後の深夜アニメの新しい風を吹き込む可能性を持っているかもしれない。(斎藤雅道)