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プロ野球 疑惑の吉見登板で異様なムードに

 ドーピング疑惑が浮上しているセ・リーグ最多勝の中日・吉見一起投手が23日、巨人とのクライマックスシリーズ第3戦に登板。結論が出ないままでの先発となった。だが、その一方で巨人ベンチからは「ヤジ禁止令」が敷かれるなど、異様なムードの中で両軍の緊張感はいやおうなく高まった。ニンニク注射騒動がCS第2ステージ決戦に波紋を広げている。

 第3戦に先発した吉見は、5回まで無失点に抑える好投を見せていたが、6回にラミレス、亀井義行に連続本塁打を浴び、2失点でマウンドを降りた。試合後は「何もない」「何も言えません」と言葉少なに球場を後にした。
 吉見は、今季16勝をあげ、最多勝のタイトルを獲得。だが、その一方で登板の前後に疲労回復に効果のある「ニンニク注射」を打っていたとされる疑惑が浮上していた。

 この行為がアンチ・ドーピング規定違反に抵触する可能性があるとして、日本プロ野球機構(NPB)の医事委員会から事情聴取を受けている吉見。さらに、この日は吉見のカルテを同委員会に提出し、協議されたが結論は出なかった。
 答えが出ないまま登板した吉見だが、試合後は異様なムードが漂っていた。中日の落合博満監督は「聞きたいことがあるのは分かっている。聞くな」と言い放った。
 一方の巨人サイドでは、異例の指令が出されていた。
 試合前に原辰徳監督から「ヤジらないように」との通達が選手全員に出たが、伊原春樹ヘッドコーチは「同じ野球人として、CSをやっているところだし、正々堂々と戦いましょう」と呼びかけた。また、清武英利球団代表は「結論が出るまで、(吉見を)出すか出さないかは球団の判断だろう。たしかにルール上は問題ないと思う」との見解を示した。
 試合は4-5で中日が敗れ、巨人に日本シリーズ王手を許してしまった。だが、このニンニク注射騒動を機に中日ナインの結束がより強まった可能性もある。CSはこのまますんなりとは終わりそうもない。

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