「星野監督」なら投手が次々に辞退、先発投手が手薄になり東京ドームが舞台の1次予選、アジアラウンドでの敗退まであった可能性がある。スポーツ紙記者がその理由を説明する。
「北京五輪で川上と岩瀬の中日勢が酷使され、やる気満々だったダルビッシュは不可解な起用法に怒り心頭。子飼いの中日のふたりはともかく、ダルは『(WBCには)星野監督なら絶対、出ない』と言っていた。涌井からこの話を聞いた松坂も、辞退宣言しかねなかった。イチローの発言で星野氏が脱落。原監督になると分かって、日本人メジャーは声が掛かれば出場しようとなったのです」
今回のWBCはメジャーに籍を置く選手が中心に選ばれることは、間違いない。よほどのチーム事情か故障していない限りは、参加するはずだ。なにより、リーダー格のイチローが2連覇に燃えているからだ。ところが、この全面協力態勢が原監督を悩ましかねないというから皮肉だ。球界OBが解説する。
「おそらくFAでメジャー入りする、巨人上原と中日川上が辞退しても投手に関しては困らないのではないか。先発には、まず松坂、黒田のメジャーリーガーが挙げられる。日本組ではパ・リーグだけでも、20勝投手の楽天岩隈を筆頭に、西武涌井、ロッテ成瀬、ソフトバンク杉内がいる。パ・リーグだけで間に合うほど、先発候補は豊富です」
中継ぎ陣はリストアップしなくてもいいくらいだが、原監督は巨人の若手成長株を入れるかもしれない。
「シーズンを通して活躍した越智と山口は経験を積ませるためにも、周囲を説得して選出しておかしくないでしょう。ふたりは若いだけに連投は気にしないし、マウンド度胸もある。野手はともかく、このふたりだけはと監督特権で選んでおかしくない」(前出・記者)
ストッパーは、もちろん阪神藤川。メジャー入りを狙っているだけに、渾(こん)身のピッチングでメジャーのスカウト陣にアピールするはずだ。
「打線があてにならないのは、これまでの国際試合で実証されてます。原監督の頭の中には、WBCの投手構成はすでに出来上がっていると見ていいでしょう」(同)
贅沢な悩みが、日本シリーズの采配に好影響する?
○渡辺恒雄会長からの注文
巨人以外の選手だけで投手候補は、余りが出るほどだが、これに待ったをかけそうなのが巨人の渡辺恒雄球団会長だ。
「それでなくても、星野監督案をつぶされている。巨人から選手が出場できなくなるのを黙認するはずがない。内海や小笠原を出せと言う可能性はある」(球界OB)
アジア予選は読売新聞が実質的な主催者。巨人の選手が小粒となれば、庇(ひさし)を貸して母屋を取られる事態にもなりかねない。原監督がどんな人選をするかも見ものだ。