動画のタイトルは「相撲協会 裏金 取引現場 パチンコ契約 X氏」で、その内容は北の湖理事長(元横綱)の側近で、50代の日本相撲協会顧問兼危機管理委員のX氏が、力士が登場するパチンコ台に関する契約を巡り、メーカーから謝礼約500万円を受け取ったとされるものだ。
パチンコメーカーと相撲協会は、肖像権の使用などに関して、昨夏に総額1億円の契約を結んだといわれている。顧問X氏は、この契約を交わすにあたって、便宜を図ったとして、メーカーから現金を授受したという。
この動画が投稿されたのは、初場所の最中だったが、相撲協会は沈黙を守った。そんななか、3月6日、大阪市内で開かれた理事会で、ようやく議題に上がった。
関係者によると、声を上げたのは、1月31日の理事候補選で落選した、“反北の湖”の九重親方(元横綱・千代の富士)だという。
ところが、外部理事で危機管理委員長の宗像紀夫氏(元東京地検特捜部長)は「情報収集して、必要があると判断すれば、危機管理委員会を開いて調査する。どういう流れで、こうなっているか分からない。今、調査するという判断はできない」と、完全に及び腰。
側近の疑惑に関して、北の湖理事長は「調査の必要があれば、危機管理委員会が判断するでしょう」と話すにとどめた。
近年、野球賭博や八百長問題などで、不祥事が続いた相撲協会だが、相撲人気も回復傾向にあり、1月30日には公益財団法人に移行したばかり。また、不祥事発覚となると、それに水を差す格好となり、下手をすれば、財団法人取り消しにもなりかねない。
臭いものに蓋ではないが、相撲協会としては、この疑惑については、うやむやのままで終わらせたいというのがホンネか?
(落合一郎)