−−オルニチンと言えば、「肝臓に効果がある」とイメージする人が多いと思うのですが、ストレスを軽くしてくれるというのは本当ですか?
西村 オルニチンにはいくつもの作用があるとされていますが、その一つが「メンタルストレスの軽減」です。
−−肝臓とメンタルが関係あるってことですか?
西村 我々は肝臓とはまた別の作用と考えています。そのメカニズムについてはまだ研究途上ですが、ある実験で、過剰なストレスをオルニチンが軽減してくれる効果が検証されました。
−−それは一体、どんな実験なんでしょう?
西村 久留米大学の津田彰教授による「オルニチンがメンタルストレスに及ぼす影響」について検証した実験です。27名の成人男女を対象に行い、オルニチンを摂取させたグループとプラセボ(偽薬)を摂取させたグループをつくり、両者に一定のストレスを与えてその反応を見るというものですね。
−−一定のストレス!? それ、どういうことですか?
西村 「TSST」という社会的ストレステストで、初対面の面接官2人の前でスピーチや暗算を行うというものです。被験者は何も知らされないまま面接を受け、過去の自分の経験を話すことになりますが、面接官は相づちも打たずにただじっと聞き続けるのみ。また、4ケタの数値から7を引き続ける暗算などを延々とさせられます。
−−ひえ〜っ! それ、ものすごいストレスですね…。
西村 Trier大学で開発されもので、信頼性の高いテストとされています。実験では、このテストで負荷をかけた後、唾液の中にあるコルチゾールというホルモン物質の分泌量を調査しました。
−−コルチゾール? どういうものなんです?
西村 ストレスマーカーと呼ばれ、主にストレスを感じると分泌されます。どれだけストレスを感じているかの指標となる物質ですね。結論としては、オルニチンを摂取していたグループのほうが、プラセボグループに比べ分泌量を抑えることができた。つまり、ストレス反応を軽減する効果があったと科学的に検証されたわけです。
−−すごいですね! どんな仕組みなんでしょう?
西村 詳細は現在も研究中ですが、メカニズムの一つとして、オルニチンが交感神経や副交感神経に働きかけているのではないかと考えています。
−−オルニチンは「睡眠の質の向上」にも影響。自律神経失調症も防げる!?
西村 この実験では、アンケートを用いて翌朝の精神的疲労感についても評価を行いました。プラセボ(偽薬)を摂取したグループは翌朝まで疲労感を引きずっていましたが、一方、オルニチンを摂取したグループは回復していたという結果に。つまり、ストレス状態からの回復を早めてくれる可能性もあると考えられますね。
−−オルニチンを飲むと、その場でのストレスが軽減されるだけでなく、心の疲労そのものも軽減できるってことなんですね!
西村 そのうえ、“睡眠”についても改善できる可能性が検証されているんですよ。
−−えっ、本当ですか? 寝付きや目覚めが良くなるってこと?
西村 そうなんです。銀座アンチエイジングラボラトリーの森田祐二氏によるテストでは、就寝前にオルニチンを摂取することにより、入眠や睡眠維持、起床時の眠気などが改善されているという結果が得られました。
−−それって、個々の主観ではなく?
西村 はい。体感的なアンケート結果でも改善は認められましたが、目覚めた後に行った集中力や頭の働きをチェックするテストで全体的にパフォーマンスが上がったという結果も出ています。
−−なるほど。説得力ありますね! 眠りの質の向上って、メンタルにも関係するものですか?
西村:睡眠とメンタルは密接に関係しています。ストレスによって自律神経が乱れれば睡眠障害が発生しやすくなりますし、その結果、うつ病の入り口とされる自律神経失調症に陥る可能性もあります。オルニチンには自律神経系にも働きかける作用も報告されていますので、引き続きメンタルへの影響は検証していきたいですね。
−−オルニチンって、肝臓の疲れにだけ効果があるのかと思っていました。
西村 ええ。それはもちろんですが、これまでお話したようにストレスケアに役立つ効果も期待できますし、体に疲労感をもたらす原因物質とされる“アンモニア”の解毒作用もあります。つまり、肉体的にも精神的にも、疲れを軽減してくれる可能性を持った素材だと思います。
−−ココロもカラダも元気にしてくれるなんて、まさに一石二鳥ですね!
西村 5月病のこのシーズン、「何となくだるい」「疲れやすい」「眠れない」「仕事に集中できない」など、不調のサインを感じていたなら、オルニチンでストレスケアを始めてみては? “心の元気”をキープするには、そのストレスを放置せず、予防していくことが大切です。
【オルニチン研究会サイト】
http://ornithine.jp/lp/