同作品は直木賞作家・山本文緒氏の小説が原作で、平凡な2組の夫婦の不倫を描いた。ドラマのテーマとしてはもはや定番だが、前クールで同じく不倫をテーマにした深夜ドラマ『ホリデイラブ』の初回視聴率5.1%と比べれば、時間帯の違いこそあるものの、高い視聴率で滑り出した。
『あなたには帰る家がある』のストーリーはこうだ。住宅販売会社に勤める夫(玉木宏)が、口うるさく家事が雑な妻(中谷美紀)に嫌気が差していた。そのタイミングで、夫は自分が担当するモデルハウスを訪れた客夫婦の妻に惹かれ、不倫に至る。妻は娘を私立中学に入学させた達成感から、専業主婦としての生活に虚無感を覚え、独身時代に勤めていた旅行代理店に復帰する。
こうして、玉木と中谷が演じる夫婦の生活に、次第にズレが生じ始める。仕事のミスが続き、さらに家事が雑になっていく妻と、家事を手伝おうともせず文句を言う夫。結婚記念日に妻はひとりメンチカツを揚げ、夫はホテルで別の女性を抱いた。
この対比は女性視聴者から共感を呼んだ。ネット上からは「共感しすぎて泣ける…」「妻が夫に言ったこと、私も言ったことあることばっかり!」「仕事がうまくいかなくて、キレ気味に疲れてる感じも、スルーしてむかつく旦那もあるあるすぎる」といった声が聞かれた。
前クールの『ホリデイラブ』では、夫の妻に対する気持ちは変わらないのに、夫が出来心で浮気してしまったというストーリーだった。対して、「あなたには―」は不倫に至る経緯が生々しく、生活と切り離されたところにある“不倫”の実情がよりリアルに描かれていると評判のようだ。
男女199名から聞いた不倫調査に関するアンケートによると、不倫を「ありえない」と思っている人は全体の30%だった。にもかかわらず「経験がある」もしくは「憧れはある」と答えた人は40%を超えたという(ラブサーチ調べ/2017年8月)。
芸能人の不倫に対するバッシングは年々厳しくなる一方だが、調査結果を見る限り、世間の声と不倫の実態には大きなギャップがあるようだ。この結果が表しているのは、不倫は身近に潜んでいて、誰にでも不倫問題に巻き込まれる可能性があるということではないか――。