ところが、事件から1か月以上経った8月、意外な展開をみせる。同月24日、警察は由希子さんの元同僚で、無職の村山真紀(33)を死体遺棄容疑で逮捕した。
事件は当初、行きずりの暴行犯のように感じられた。だが、遺体が発見された現場からは由希子さんの財布や携帯電話、クルマのキーなどだけが見当たらず、バッグや現金数万円などは置き去りにされていた。
わざわざ個人を特定できるものだけを持ち去っていることから、警察は顔見知りの犯行との見方を強めて捜査を進めたところ、村山が浮かび上がった。そして24日、自宅にいた村山に任意同行を求めて事情を聞くと、由希子さん殺害を認めたため逮捕に至った。
また、犯行当日6月14日夜に、由希子さんの勤務先の近くにあるコンビニの防犯カメラに、村山の姿が映っていた。
このことから、村山があらかじめ由希子さんが退社するのを見計らい、待ち伏せしていたことが明らかとなった。
実は村山は、以前、由希子さんの夫であるAさんと交際していた。2001年頃、がパートとして勤めていたスーパーにAさんが大学卒の新人として入社。彼の指導に当たったのが、先輩として働いていた村山だった。
仕事で日々接しているうちに、2人は交際へと発展。同棲生活を始める。ところが、村山は当時すでに結婚しており、文字通りの不倫関係だった。
それでも村山とAさんとの同棲生活は続いた。そして村山は、正式に離婚してAさんとの結婚も考えるようになった。
また、Aさんはというと、当初から幹部候補生として採用された。しかも根がまじめで誰にも誠実とあって、社内での評判も上々。さらにメーカーとの打ち合わせなどにも熱心で、取引先からの信頼も非常に高かった。
そのため、2006年にはAさんは取締役に抜擢された。村山は思わぬ「玉の輿」というわけである。
だが、思いがけない状況が訪れることになる。
(つづく)