警視庁組織犯罪対策総務課は3月5日までに、詐欺事件の被害者に被害回復を持ちかけて、現金をだまし取ったとして、詐欺容疑で、無職の男(25=住所不詳)を逮捕した。
男は昨年8月に、山梨県富士河口湖町に潜伏しているのが確認された後、行方が分からなくなったため、2月12日に公開手配されていたが、3月4日、大崎署に自ら出頭した。出頭時は、この寒空の下、ハーフパンツの軽装で、現金約2万7000円を所持していた。容疑を認めている。
逮捕容疑は、昨年1月、過去に詐欺の被害に遭った愛知県尾張旭市の無職女性(69)に、詐欺被害金返還担当業の社員を装い、「供託金を支払えば、だまされたお金が全部返ってくる」などと持ち掛け、現金計205万円をだまし取った疑い。
同課によると、男は振り込め詐欺などをしていたグループのリーダー格で、被害者に電話をかける「架け子」を担当していた。このグループには、50人以上が所属しており、すでに計33人が振り込め詐欺事件などで摘発されている。警視庁は、このグループによる被害が10億円以上に上るとみている。
男は、その風貌が歌舞伎役者の市川海老蔵さんに似ているとして、仲間内では「カニ蔵」と呼ばれていた。だが、警視庁から公開された写真を見るかぎり、坊主頭の共通点こそあるが、海老蔵さんに似ているとはいいがたかった。
高校時代、男はインターハイの競泳400メートル個人メドレーで優勝するなどの経歴をもった元トップアスリートで、進学した明治大学でも活躍していたが中退し、振り込め詐欺グループに加わったとみられる。
(蔵元英二)