『障がい福祉青少年育成チャリティー大会〜川崎炎上シリーズ とどろきの乱〜』
▽10月31日 川崎・とどろきアリーナ 観衆 1,060人(満員)
「写真撮った?」
王座防衛に成功しバックステージに現れた藤波辰爾は、報道陣にこう問いかけた。
HEAT-UPユニバーサルタッグ王者チームの藤波&TAMURAだが、腰のヘルニア発症でTAMURAが緊急入院。今大会の出場も危ぶまれたが、「8週間かかる」と医者に言われたところを、4週間でリングに戻ってきた。なお、TAMURAは田村和宏からリングネームを変更している。
練習中「怖い」と話す場面もあったTAMURAだが、練習を見る限り動きは戻っていた。2年ぶりとなるとどろきアリーナでのビッグマッチを成功させたいという団体の社長としての思いが、TAMURAをリングに戻したのは言うまでもない。
挑戦者チームは、みちのくプロレスのザ・グレート・サスケと、GOING-UPの成長株・大谷譲二の強力タッグ。現在のスタイルのサスケに恐らく初めて遭遇したであろう藤波は序盤、戸惑いを見せていた。ただ、ケガ明けのTAMURAをフォローすべく、サスケと大谷の2人の足を捕まえて、2人まとめてダブルのドラゴンスクリューで倒すなど奮闘した。
サスケと大谷はTAMURAに狙いを定め、攻撃を仕掛けていくが、TAMURAも欠場前と変わらぬ立体殺法で、サスケ組を翻弄。最後は藤波がサスケをドラゴンスリーパーで捕らえている間に、TAMURAかトップロープからムーンサルトプレスを見事に決めてカウント3。藤波&TAMURAが2度目の防衛に成功した。
サプライズが起こったのは試合後のこと。藤波がTAMURAの復帰祝いとばかりに、ベルトを腰に巻いたのだ。試合後、藤波は「まさかこの歳でベルトを腰に巻くとは思わなかった」という藤波だが、それもそのはず。藤波はベルトを“腰に巻く”ことへのこだわりが人一倍強いのだ。
過去にはWWF(WWE)インターナショナルヘビー級王座のベルトについて「長州(力)からフォール取るまで巻かない」と言ったり、IWGPヘビー級王座のベルトも「(アントニオ)猪木さんに勝つまでは巻かない」と言い、60分フルタイムドローに終わった試合後、猪木が藤波の腰に巻いた経緯がある。IWGPタッグ王座や、KO-D無差別級タッグ王座にも輝いているが、入場時は手に持ち、勝てば肩にかける場面が多かった。
冒頭に「写真撮った?」と聞いてきたのは、ベルトを巻くことに対するこだわりを持つ彼が今回、“レア”な場面を見せたことを報道陣に確認する意味もあったのだろう。
“レジェンド”藤波のサポートもあり、見事に復帰戦を終えたTAMURAは、藤波から「大丈夫?コーナーから投げられたりして、ヒヤヒヤしたよ。リングだとできちゃうところがあるからね。僕の人生もヘルニアとの付き合いだから」と声をかけられると「1ヶ月前に腰の手術をして、なんとか間に合うことができました。違和感はありましたけど、レスラーの回復力を見せたかったんです。ムーンサルトも出しましたけど、それが自分の覚悟」と復帰戦を振り返っていた。
「前回は試合の3日後にやったので、3日経つまでは安心できない」というTAMURAだが、初進出となる真冬の最強戦士決定戦『灼熱王2018トーナメント』(開幕11月24日、神奈川・宮前スポーツセンター大会)にエントリーする意向。兼平大介が保持するHEAT-UPユニバーサル王座への返り咲きも諦めていない。
藤波とのタッグに関しては「レジェンドとやりたい気持ちもあるんですけど、来年1月から『パワフルタッグトーナメント2019』がある。その優勝チームとやることになると思う」と今後のプランを口にした。なお、どちらのトーナメントも別ブランド・GOING-UP勢も含めて開かれる。
藤波は12月28日に65歳の誕生日を迎えるとあって、このまま日本人現役選手最高齢王者として年を越すことが確定。来年も藤波のベルト姿が見られそうだ。
取材・写真 / どら増田
写真 / T-サモハン