「G1」はあくまで個人戦だが、リング上では時に公式戦に参戦しない選手が試合介入し、水を差すこともある。昨年の公式リーグ戦では天山広吉がG1に参戦していない天敵の飯塚高史から場外などで執ように襲撃を受けた。そのダメージもあって、復活Vを目指していた天山は予選リーグ敗退に追い込まれた。
個人闘争であるG1に、日ごろの軍団抗争の恨みつらみが持ち込まれてしまうことも多々ある。今年は昨年数々の暴挙をはたらいた飯塚が公式戦に出場し、敵対するチームに反則攻撃を連発。本隊、GBH、CHAOSの3軍がひしめく新日マットにおいて今年もこうした懸念は拭えない。
G1裏の場外バトルが思わぬ結末を導くことも多く、G1不参加選手の動向からも目が離せない。
今年のG1期間中には本戦以外にも注目の団体対抗戦がある。それがノアとのG1裏の対抗戦だ。今大会にはノアから杉浦貴がBブロックに参戦しているが、公式リーグ戦のない13日愛知大会には青木篤志を引きつれて対抗戦に登場。これに対して新日サイドは、スーパー・ストロング・マシンと岡田かずちかが迎え撃つ。
この一戦はそれぞれの思いが交錯する。マシンにとっては杉浦から「マシンは平田だろ」と不可解な挑発をされたうっぷんをはらす闘い。ノアとの対抗戦でことごとく苦渋をなめている岡田はリベンジに燃える。
また「G1は全試合が対抗戦」を掲げる杉浦と、6月のスーパージュニアであと一歩決勝に届かなかった青木のノア勢にとっても、この闘いは負けられない。
新日VSノア番外編ともいうべき一戦。対抗戦の女神はどちらにほほえむのか。
◎3週連続両国出場
G1最多記録となる5回の優勝を誇り「元祖夏男」と称される蝶野正洋だが、今年は自身の25周年記念興行となる10・12両国大会に向け「G1には出ないでコンディション作りをする」と欠場。ただ、蝶野によれば「両国の決勝の日にはなにか自分のテーマを持ったカードで出る」と最終戦には参戦するという。
思えば今年は6月の時点で早々とG1欠場を表明したが、実はそこには夏男のしたたかな狙いがあった。それが真夏の両国3週連続出場。16日の新日プロ両国大会を皮切りに、翌週23日のDDT両国大会と翌々週30日の全日本プロレス両国大会の3週連続日曜日に両国に参戦し、“サンデー蝶野”になることだ。
「夏に3回も両国に出れば、10月に両国で自分の25周年をやる上でもプラス。G1で前人未到の6回制覇の記録更新よりも、いまの蝶野には両国3週連続出場の方がメリットがある。だから今年はサンデー蝶野なんです」とは蝶野の側近。ミスターG1と称された男の夏は今年G1最終戦から開幕する。
◎マスクマン頂上決戦
IWGPジュニアヘビー級王者タイガーマスクはこの夏、最強の覆面挑戦者を迎え撃つ。G1予選リーグ戦の最終日となる15日の両国大会に、CMLLトップレスラーのミスティコの挑戦を受ける。今年1・4東京ドーム大会に初参戦した時から「彼とベルトをかけて闘いたい」と言い続けてきたミスティコの願いが実現する。
タイガーにとってもこれまで8カ月、4度も防衛を重ねてきただけに「やっとメキシコの英雄とやれるのかという感じ」と思いもひとしお。G1クライマックス本戦に勝るとも劣らないアツい一戦になることは間違いないし、ルチャファン必見の闘いとなる。