上原は「日本でも米国でも必要とされる球団があれば、どこへでも行く。敗戦処理でもなんでもやる」と明言している。それだけに、使える投手が1人でも欲しい横浜が獲得に名乗りを上げるのは当然の成り行きとも言える。しかも、尾花監督は巨人時代の投手コーチだし、互いに気心が知れている。キャリアを生かした抑えに起用できれば、山口を先発に回せるし、メリットは十分にある。
阪神が関心を示すのもわかる。巨人以上の破壊力のある猛虎打線と対照的に先発投手陣のやりくりに四苦八苦している。20日から東京ドームで行われた首位攻防の大事な巨人3連戦に、プロ通算4年目で2勝しかしていない小嶋の先発、さらに高卒ルーキー・秋山(西条高)をプロ入り初登板、初先発させるなど火の車の台所事情だ。巨人のエースとして112勝しており、大阪出身の上原なら、阪神ファンから大歓迎されるだろう。
阪神は上原だけでなく、ブレーブス・川上憲伸(35)、ドジャース・黒田博樹(35)にも関心を示し、調査をしている。幅広い人脈を持つ、球界OBがこう明かす。
「川上、黒田が日本球界に復帰する決断をすれば、故障不安を抱える上原以上の人気を呼んで、争奪戦が起こるだろう。川上は落合監督の去就と絡んでくるだろうが、立浪新監督誕生となれば、中日復帰が有力になる。黒田も広島復帰が最有力視される。が、FAの際には一時期、阪神入り間違いなしの状況もあったほど阪神とのホットラインがあるから、予断は許さない」。
35歳の日本人メジャーリーガー投手トリオの他にも、カブス・福留孝介(33)、アストロズ・松井稼頭央(34)、パイレーツ・岩村明憲(31)といった去就が注目される野手の日本人メジャーリーガーがいる。1年契約のエンゼルス・松井秀喜(36)も例外ではない。
「メジャーで頭打ち状態の日本人メジャーリーガーたちは、ドンドン日本球界に戻ってくればいい。今季復帰した城島(前マリナーズ)は、下馬評の低かった阪神が巨人、中日と優勝争いしている原動力になっている。ロッテの井口もメジャーのキャリアを生かし、優勝争いのチームに貢献している。かつてのスター選手が日本球界に戻ってくれば、活性化するし、ファンも素直に喜ぶ」。
前出の球界OBはこう言って、日本人メジャーリーガーたちの日本球界復帰ラッシュを待望する。確かに、まだバリバリやれる日本人メジャーリーガーが戻ってくれば、優勝のキーマンになれるし、ファンの関心も高まるだろう。外国人選手頼みの現状は、ほめられたものではないし、テレビ局が野球中継に背を向けているのも、視聴率を取れる日本人スター不足が大きな原因だ。日本ハムが札幌へ本拠地移転する集客の目玉として日本人メジャーリーガー・新庄剛志を獲得して大成功した例もある。日本人メジャーリーガーの日本球界復帰ラッシュ待望論も当然だろう。