映画「影武者」といえば当時、半年にもわたる出演者全員参加のリハーサルが行われたものの、主役に起用された勝新太郎が突然の降板。原因は勝と監督の衝突にあると言われ、日本を代表する映画監督と俳優に生じたその亀裂は、業界でタブー視されてきた。そこで番組出演者は、渦中にいた萩原さんに、その真相を直撃したのである。
この件について、萩原さんは「あれは正直言って勝さんが悪いね」と発言。これを聞いた松本人志は「勝さんが現場でホームビデオを勝手に回していたのを、黒澤さんが『何を撮ってるんだ?』ってことで揉めたっていう…』と世間で囁かれる噂をぶつけると、萩原さんは「予兆みたいなのは感じたよね。あ、ヤバいよ」と当時の空気を明かした。
萩原さんによると当時、監督と揉めて現場に来なくなった勝を、滞在先のホテルにまで説得に行ったそう。しかし、勝は「(武田)信玄はわかるんだけど、影武者の演じ方はわからない」と拒否したそうで、萩原さんは「それは考えなくていいから出てこい! それは貴方が考えることじゃない!」と口論。しかし結局、勝は映画を降板となってしまったようだ。
また、2016年の『週刊新潮』(新潮社)に掲載された、黒澤監督の助手を長年務めた野上照代のインタビューによれば、リハーサルの時点から、勝はセリフをわざとそのまま言わないなど、何度も監督とぶつかっていたそう。そしてある日、椅子に座る監督に、勝がしゃがみこんで話していると、監督は「余計なことするんじゃない!」とブチギレ。これに勝も激怒し、カツラや衣装を脱ぎ捨て、ワゴン車に戻っていったそう。
その後、監督もワゴン車に乗り込むと、冷静に「勝くんがそうならやめてもらうしかない」と告げたそうで、これを聞いた勝は、監督に掴みかかろうとする大喧嘩に発展。これには近くにいたプロデューサーが、勝を羽交い締めにして必死に止めたという。
結局、監督と勝の亀裂は修復されず、代役は仲代達矢へと変更。しかし勝は、『影武者』に未練があったようで、色々な人に復帰できないか画策していたとのこと。また、完成した映画の試写会にもやって来て、「俺がやっていたらもっと面白かった」と語ったそうだ。本人は監督との喧嘩で、まさか本当に降板させられるとは思っていなかったのかもしれない。