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部員死亡事故起こした青森山田高野球部が甲子園予選に出場 遺族と学校に大きな隔たり

 昨年12月18日夜、青森山田高校(青森市)野球部の寮で、1年の男子部員が(当時16)が寮の消灯時間後に同級生と焼き肉をしたため、腹を立てた上級生(18)=退学=が顔や背中を殴るなどの暴行をはたらいた。男子部員は意識を失い病院に運ばれたものの、19日未明に死亡が確認される痛ましい事件が起きた。

 青森県警は今年1月、上級生を暴行容疑で青森地検に書類送検。上級生は2月に自主退学した。両親側は上級生の暴行により、男子部員が死に至ったと主張。学校側にも管理体制の不備があったとして、4月9日、上級生を傷害致死容疑で同地検に告訴。上級生ら、学校を運営する青森山田学園に計約8700万円の損害賠償を求め係争中だ。

 県高野連は同校を春のセンバツ大会の推薦校に選んでいたが、この事件で、同校は推薦を辞退。練習も4月中旬まで自粛した。

 「全国高校野球選手権」青森県大会から自粛を解いた同校野球部は、7月13日、同大会の2回戦に登場。昨年10月の秋季東北大会以来、9カ月ぶりの実戦に臨んだ同校は、南部工に11-0で6回コールド勝ち。3回戦では昨夏、今春の甲子園で準優勝を果たしたライバル・光星学院との対戦が待ち受けている。

 ナインは今大会に挑むに当たり、亡き部員のため、ユニフォームの胸の部分の内側に喪章を縫い付けて臨んでいる。学園の木村雅大副理事長が手渡したものだ。寮には男子部員の遺影が飾られ、毎朝部員が水や花をあげ、手を合わせているという。

 一方、遺族側弁護士は13日、同校に対して、遺族への対応に抗議する文書を送付した。同校側が遺族に直接会って説明していないのに、青森大会に出場することについて、「誠実さはみじんも感じられない。部員同士の事件なのに、事件は過去のものであるかのように振る舞われている」と訴えた。両親側は「息子の死がなかったかのように、県大会に出場することに腹が立つ」と語っているという。また、学園が調査委員会を設置したことについては、「裁判対策や大会出場に向けたアピールとしか思えない」と批判。

 くしくも、遺族と学校には、いまだ大きな隔たりがあることが明らかになった。しかし、事件に関わりがない野球部員に罪はない。遺族の思いとはうらはらに、青森山田高野球部の熱い夏は続く。
(蔵元英二)

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