被害を受けたのは埼玉県立上尾高校(上尾市浅間台)野球部で、7月8日、部員が朝練の際にグラブ約10個とボールが盗まれたことに気付き、学校が上尾署に届け出た。
金子章野球部部長が、「このままで悔しくないのか。自分たちで犯人を捜そう」と部員に呼び掛け、盗まれた道具を自力で探し出すことで意見が一致。部員は練習後、手分けして、中古品販売店などで聞き込み。その結果、8日夜、とあるリサイクルショップに、自分たちのグラブが置かれているのを発見した。犯人がその店に売る際に、身分証明書を提示していたため、足がつき、20歳と21歳の男2人組が窃盗容疑で12日までに逮捕された。グラブは同校に返却された。
逮捕容疑は、2人が7日夜から8日朝にかけて、同校の敷地内に侵入し、用具置き場に置いてあったグラブとボール(総額約18万円相当)を盗んだ疑い。埼玉県内では5月に私立栄北高(伊奈町)で、6月に県立伊奈学園総合高(同)でグラブが盗まれており、同署は2人との関連を調べている。
上尾高校野球部は公立ながら、春夏合わせて7度の甲子園出場を果たした名門校。75年夏の甲子園ではベスト4にも進出。これまで、2000本安打を達成した山崎裕之(ロッテ、西武)、会田照夫(ヤクルト)、仁村徹(中日、ロッテ=現楽天二軍監督)らのOBを輩出した。
「全国高校野球選手権埼玉大会」は11日に開幕。試合直前の用具盗難に、村田進教頭は「大会の直前であり、練習への支障や精神的な影響はあったと思う。憤りを感じている」と激怒した。
同校野球部は13日、埼玉平成高(毛呂山町)との予選1回戦に臨み、苦境をモノともせず、5-0で快勝した。同校は15日に2回戦で国際学院高(伊奈町)と対戦する。
(蔵元英二)