逮捕容疑は同日午前1時40分頃、同県久留米市上津町の居酒屋駐車場で、エンジンをかけたままだった同市の男性会社員(25)の車(36万円相当)を盗んだ疑い。同容疑者からは、基準値を超える呼気1リットル当たり0.2ミリグラムのアルコールが検知され、同署は酒気帯び運転の疑いでも調べている。
同署によると、同容疑者は24日夜、福岡市内で同僚と飲酒。帰宅しようと西鉄天神大牟田線に乗ったが、西鉄久留米駅まで寝過ごして下車。タクシーを探したが見つからず、同駅の南約2.5キロの居酒屋駐車場で、エンジンをかけたままだった車を盗んで運転した。持ち主の男性がすぐに気付き110番通報。車が盗まれた約50分後、20キロ以上離れた大野城市で盗難車に乗っていた同容疑者を同署が発見したが、車内にあった男性会社員の免許証を見せたという。
同容疑者は「(終電が出てしまい)戻る電車がなかったため、車を盗んで帰ろうとした」と供述しているという。
06年に福岡市では飲酒運転の市職員による幼児3人の死亡事故が発生。今月22日には、全国で初めて罰則を盛り込んだ県の飲酒運転撲滅条例が成立した。同市は幼児の月命日である毎月25日前後に各部署で飲酒運転防止に取り組み、同容疑者も24日昼に上司から訓示されたばかりだった。
25日に緊急記者会見した高島宗一郎福岡市長は、「飲酒運転撲滅の先頭に立つべき市職員が、このような事件を起こし、深くお詫びする」と陳謝した。
ふだん、人の命を預かっている救急隊員が、電車がなくなったからといって、車を盗んで飲酒運転とは聞いてあきれる話だ。これでは、厳罰もやむなしであろう。
(蔵元英二)