霧の若は一連の八百長問題で関与したと認定され、昨年4月に日本相撲協会から引退勧告を受けて、相撲界から去っていった。昨年4月28日には、同所でのIGFの興行に、千代白鵬、旭南海らとともに来場していた。八百長問題で処分を受けた元力士が、他のプロスポーツでデビューするのは、霧の若が初めてとなる。猪木会長は「(体が)もうひと絞りできればいい。寝技の素質がある。本当は12月にという話もあった」と好評価している。
霧の若は熊本県出身で、99年3月に陸奥部屋に入門。長く幕下で伸び悩んだが、08年1月の初場所で新十両に昇進。現陸奥親方(元大関・霧島)が育てた初の関取となった。同年11月の九州場所では幕下に陥落したが、09年3月の春場所で再十両。同年9月の秋場所では最高位の十両4枚目まで昇進した。その後は10年7月の名古屋場所で再び幕下陥落。引退勧告を受けた際の昨年夏場所(技量審査場所)での番付(順席)は東幕下28枚目だった。十両在位は13場所、通算成績は310勝291敗。
IGFには大麻取締法違反(所持)で逮捕され、協会を解雇された元幕内・若麒麟こと鈴川真一が所属しているが、霧の若は鈴川と同年齢で、99年3月の春場所でともに初土俵を踏んだ同期生である。
ワケありでプロレス入りした鈴川もそうだが、霧の若も事情が事情だけに、デビューすれば、好奇の目にさらされることになる。必然的にファンやマスコミの目も厳しいものになるであろう。霧の若はまだ28歳と若く、“八百長力士”のレッテルを吹き飛ばすようなファイトを期待したいところだ。
(落合一郎)