「由伸の気持ちは分かるが、バッティング能力は実戦から離れていても、そんなに落ちない。打撃に関しては天性のものがある由伸なら、なおさらそう。この時期に鍛えておくべきは体力をつけること。つまり、走り込むほうが重要なんだ。直接的ではないにしても腰をカバーすることにもなる」
高橋はいま、微妙な立場にある。亀井を筆頭に若手が台頭してきているからだ。しかし、状態がよくなれば使いたいのが首脳陣。焦る気持ちはわかるが、まずは基礎体力を養うことが先決といえるだろう。
昨シーズン、やはり故障に泣かされたヤンキースの松井秀喜は順調に回復していると見ていい。左手首骨折の次はひざの手術。ヤンキースではライバルも多く、トレードさえ噂されたが主砲の一人として残った。
「実績があるし、守備も魅力。それになにより、パワー、体力がある。故障を克服できたのも体が頑丈だからだ。体が強くないとシーズンを乗り切れないのがメジャー。非力でも通用する日本とは、そこが違う」
そう言うのは、メジャー経験がある球界OB。松井はおそらくDHでの起用になると見ている。
「WBCの候補に選ばれておかしくなかった高橋は前半戦、試合に出られるかどうかでその後が決まる。どんなに力があっても、故障が再発すれば使えなくなる。今年は勝負の年になるかもしれない」(同)
定位置を約束されていない、2人のパワーヒッター。明暗を分けるのか、それともそろって活躍することができるのか。