「もともとリードには定評のある捕手だったんです。昨季まで、ホークスは田上(秀則)をスタメンマスクで使っていましたが、山崎は打撃にも磨きをかけ、田上との正捕手争いに勝ったんです」(プロ野球解説者)
先の西武戦には『続き』がある。山崎の負傷退場を受け、高谷裕亮(28)が送られた。高谷のせいにはしたくないが、先発の杉内俊哉(29)が西武・細川に満塁アーチ浴び、6失点と炎上…。翌21日、山崎の今シーズン中の復帰が絶望と分かり、ホークスナインは声を失った。
「今年、ホークスは球宴のホストチームです。城島がセ・リーグのファン投票で選出された捕手として帰ってくるんですよ…。城島のハツラツとしたプレーは、ある意味で見たくない光景でしょうね。ホークスは捕手難で試合を落としているんですから」(前出・同)
城島健司(34)の阪神入りは、星野仙一SD(63)の直接交渉で一気に決まったように報じられたが、実際は違う。マリナーズ退団を決心した昨年秋、イの一番に王貞治・球団会長に連絡を入れていた。つまり、ホークス帰還が難しいと分かり、阪神との交渉に臨んだのである。
「王会長は城島帰還に前向きでしたが、予算のこともあって(選手総年俸)、他フロント幹部が難色を示したんです。田上が正捕手の座を掴み、山崎が巻き返そうと必死に頑張っていたときでもありました。秋山監督は若い彼らに託してみたかったんでしょう」(関係者)
山崎の戦線離脱により、王会長は緊急補強にも乗り出した。捕手を獲得するのか、それとも、先発投手をもう1枚足すのかは不明だが、こんな指摘も聞かれた。
「小久保政権の誕生時期が早まるんじゃないか!?」
秋山監督も人望が厚い。二軍監督時代、春季キャンプでは夜の7時すぎまで若手が居残り練習をすれば、秋山監督もそれに付き合った。「秋山監督の熱意が若手を遅くまで練習させた」なる声もあり、キャンプ地・宮崎では「秋山サンが監督になるときは強くなる」と、地元関係者を唸らせていた。しかし、
「カリスマ性というか、そういうオーラは小久保サンの方に感じる。いずれ、小久保サンが監督になるんだろうけど…」
ホークス選手は多かれ少なかれ、そんなふうに小久保待望論を口にする。
昨年オフ、球団は森脇浩司ヘッド兼内野守備走塁コーチを切ったように(職員復帰)、容赦ない人事刷新を強行した。ダイエーからソフトバンクに球団名を変更して5季目、いまだ優勝はない。秋山監督は3年契約の2年目だが、決して安泰ではないのだ。
「高谷、田上も必死ですが、『城島を獲得しておけば』の後悔は、オールスター戦が近付くにつれ、強くなっていくはず」(前出・関係者)
王会長は緊急補強に動き始めたが、秋山監督にとっては辛い夏になりそうだ。