この3連戦で本領を発揮したのが、日本の4番でありチームのキャプテンでもある筒香嘉智だ。
初戦は1-3のビハインドで迎えた4回裏、カープのエース大瀬良大地からバックスクリーンの上部へ同点となる2ランホームランを放ち試合を振り出しに戻すと、7回にはレフトスタンドへ豪快に運びマルチホームランを記録。この日は4打数3安打3打点の大暴れで、お立ち台に上がる大活躍となった。
2戦目は4打数ノーヒットと、バットから快音は聞かれなかったが、延長10回2アウト3塁、一打サヨナラの場面で前の打者ホセ・ロペスが申告敬遠で歩かされる“屈辱”と捉えられるようなケースで真骨頂を発揮。3-2のフルカウントからカープの抑えフランスアの外角ストレートを平然と見送り、フォアボールを奪うと、次のバッター宮崎敏郎が見事にセンター前へ落としサヨナラ勝ち。結果的に筒香の冷静さが勝利を呼び込んだ。
3戦目は今シーズン既に2敗を喫している苦手・床田寛樹から、0-0で迎えた3回1アウト1-2塁のチャンスを作ると、4番筒香が外角に逃げていくスライダーを、コースに逆らわずレフト戦へ弾き返し先制の2ベースを放つなど、3打数2安打をマークした。
交流戦では出塁率は.368の数字を残しながらも、打率.204、ホームラン3本で、打点は4、得点圏打率はわずか.091で、三振は27を数えるなど信じられないほどの不調で、福岡でのホークス戦ではリフレッシュの意味もありスタメンを外れるゲームもあったほどであった。
交流戦の最終戦でラミレス監督が口にした「勝率5割、そしてAクラス」がこの3連戦で一気に近づくことができ、30日のインタビューでも「非常にポジティブに今週を終わらせられた」と満足げ。何しろリーグ戦再開後、筒香がいきなり本来の姿を見せてくれたことで、チームも好発進を切ることができた。「チームの勝利のために」4番でキャプテンを務める男の有言実行が、ベイスターズを上位へ押し上げる。
写真・取材・文 / 萩原孝弘