象徴的なゲームは、19日のファイターズ戦。同点で迎えた9回に登板し、いきなり近藤健介にフォアボール、中田翔にレフト前に運ばれ、ノーアウト1-2塁の大ピンチを迎えてしまう。しかし、自らマウンドに足を運んだラミレス監督から喝を入れられるとギアが上がり、王柏融に158キロのストレートで詰まらせショートフライ、渡邉諒には自己最速の160キロストレートで三振、石川亮にはストレートで押し込んだ後のスライダーで連続三振に切って取り、雄叫びを上げてマウンドを降りた。これで流れを掴んだベイスターズは、ホセ・ロペスのヒットから大和のサヨナラヒットでファイターズ相手に連勝を飾り、エスコバーも自身シーズン2勝目を挙げた。
ここまで交流戦14試合のうち、9試合に登板とフル回転し、ホールドも6をマーク。昨年よりスライダーの精度が上がった為、ストレート頼りのピッチングから脱却し、更にコントロールも改善している。肩が出来るのも早く、“投げたがり”タイプのエスコバーは、チームにはありがたい存在で、好調のベイスターズリリーフ陣の中でも、特に存在感を示している。
綺麗なひげを蓄え、風格のあるエスコバーだが、実はまだ27歳。伸びしろ十分の“ベイスターズ史上最高助っ人左腕”はこれからどれほどのインパクトを残してくれるのか。残りの交流戦はもちろん、その後のリーグ戦でも期待は尽きない。
取材・文・写真 / 萩原孝弘