今年の6月14日から、晴れて施行されるこの規制法。今春に予定される2020年東京オリンピック・パラリンピックのチケット販売に間に合わないのは少々残念なところだが、悪質な高額転売を1つでも減らしてくれる法律となってくれることを願うばかりである。
ところで、今回の規制法では、冒頭の通りチケットが対象範囲となっているが、筆者には他にも転売規制が必要と感じているものがある。それはチケットと同様に、しばしば転売が行われているサインや限定グッズだ。
有名人やアスリートの方々が、日々応援してくれるファンのためを思って書いてくれるサイン。本稿をご覧の皆様の中にも、書いてもらったサインを大事に大事に保管している人が一定数いることだろう。
しかし、世の中にはファンと偽ってサインをかき集め、それを高額で転売する非常に“みっともない”連中も少なからず存在している。被害にあった著名人の中には苦言を呈する人もいるのだが、残念ながら撲滅には程遠いのが現状である。
善良な人々を悩ませるのは、グッズ転売も同様だ。「数量限定」、「会場限定」といった希少性の高いグッズは、値段の高騰を見越した“転売ヤー”の標的となりやすい。そして、こうした輩のなりふり構わぬ買占め行為は、本当に欲しい人にとっては迷惑以外の何物でもない。
販売元の組織やアーティストの中には、「再販」や「予約販売」といった対策を講じているところもある。しかし、人件費や管理費といったコストがかかることを考えると、こうした対策にも限度があることは否定できない。
チケット転売を封じられた転売業者の中には、損失をカバーするためにサインやグッズに触手を伸ばす連中もいるはず。泣きを見る人が増えてしまう前に、ぜひとも先回りして法規制の整備に取り組んでもらいたいところだ。
文 / 柴田雅人